秋田県にかほ市でハンバーガーショップを営む男性が、今春から「子ども食堂」を毎月1回のペースで開いている。「地域に根差した取り組みで人々を笑顔にしたい」と奮闘する男性を紹介する。

レトロでポップなインテリアに、アメリカの大衆食堂「ダイナー」を思わせる雰囲気の店内。にかほ市平沢にある革細工とハンバーガーの専門店「Leather & Diner knc」だ。

店を経営するのは、にかほ市出身の木内正信さん(39)。

高校を卒業後、関西で就職した木内さんは、趣味で始めた「革細工」に本格的に取り組もうと、17年前に奈良県で工房を開いた。

結婚し、子どもが小学校に上がったことをきっかけに、8年前に家族で古里に戻り、工房も移転。さらに4年前からは、飲食店も始めた。

 Leather & Diner knc・木内正信さん:
「高校を卒業してすぐ秋田から出たが、外の世界を見て、地元に帰って来て言えることは、秋田にしか無いものがあるし、秋田でも都会の文化を感じられるとか、秋田でもこういう事ができると、何かしらの形で伝えていければと思い、今の店の形にしている」

木内さんが製作した革細工のアクセサリーやバッグが並ぶ店内で、ハンバーガーを味わうことができる。

31種類もあるハンバーガーの中で、人気なのが「ベーコンチーズ」だ。パテは牛肉100%の粗びき肉を使用し、隠し味にニンニクと粒マスタードを加えることで、肉のうまみを引き出している。トッピングに八幡平ポークの肉厚なベーコンとチーズを乗せた、食べ応えのある一品だ。

 Leather & Diner knc・木内正信さん:
「『うちでハンバーガーを初めて食べた』という人や、92歳のおばあちゃんが娘と来て、1つペロリと食べて帰ったりとか、今までにない新しい文化を地元に広げている感じはすごくある」

食後のデザートには、3年前から提供を始めた韓国発祥のかき氷「糸ピンス」がおすすめだ。味を付けた液体原料を専用の機械で瞬間冷却し、糸のように削って重ねることで、ふわふわとした食感と口どけを楽しむことができる。

様々なメニューを展開する中、木内さんは今春から新たな取り組みを始めた。にかほ市内にはまだ無かった、地域の子どもたちに料理を振る舞う「子ども食堂」の運営だ。

 Leather & Diner knc・木内正信さん:
「関西で子ども食堂を運営している友人と話をしたときに、親同士、子ども同士の交流の場、何かしら地域にできることをやりたいと思ったのが始めたきっかけ」

木内さんの思いに賛同した秋田の人気ラッパー・羅漢さんがスタッフとして参加してくれたり、地元の人気ラーメン店・湯の台食堂が食材を提供してくれたりと、協力の輪が広がっている。

 Leather & Diner knc・木内正信さん:
「手伝ってくれるという声がたくさんあり、そういうのが本当にありがたい。子どもたちが喜んでいる顔を同じ場所で共有できるのは、手伝ってくれる人も本当にうれしい顔をしてくれて、その顔を見たら僕もうれしい。本当にこの輪が広がればいいなと思う」

革細工工房に始まり、子ども食堂の運営へと活動を広げる木内さんに今後の目標を聞いた。

 Leather & Diner knc・木内正信さん:
「地域に根差した活動をしながら、少しでも長く人を笑顔にできればいいなと思う。その気持ちは子ども食堂を始めたきっかけにもなるが、何かできる人ができることをできる分だけ続けていければ良いのかなと考えている」

地域の人々を笑顔にする木内さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

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