震災と原発事故により途絶えてしまったのが福島県浪江町のサケ漁だ。早ければ2026年度の復活を目指し、7月17日施設の建設がスタートした。

浪江町で2024年度中の完成を目指しているのは、サケのふ化施設。建設費20億円をかけて最大456万匹の稚魚を育てられる池などが整備される計画だ。
浪江町の吉田栄光町長は「この施設を大いに活用して、次の世代にこのサケの増殖技術をつないでいく」と話す。

浪江町には震災前、ふ化施設が3ヵ所あり、年間約1500万匹の稚魚を放流。引き網漁も盛んで、サケは町を代表する秋の味覚の1つだった。
しかし、震災と原発事故で中止を余儀なくされ、稚魚の放流は2018年に再開できたが、サケ漁は未だ復活出来ていない。

地元の漁協、泉田川漁業協同組合の組合長、泉田重章さん。「13年前、魚を獲ってた頃は、ここの場所に簗場があって、わきの水路を通ってサケは上流に遡上していくという形だったんですよね」と語る。祖父の時代から約70年、一家でサケ漁に携わってきた。

気候変動などにより、最近は稚魚を放流してもほとんど戻ってこない厳しい状況だが、新しい施設の建設が、町に新たな風を呼び込んでくれると期待している。「この施設を利用して、とりあえず魚は北海道から仕入れたとしても、それを今度育てて、また放流して、賑わいを取り戻したいという風に考えています」と泉田さんは話す。

伝統復活へ。早ければ2026年度のサケ漁の再開を見据え、2025年度には約30万匹の放流を目指す。

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