(ブルームバーグ): パナソニックホールディングスの楠見雄規社長は、2026年度までに成長性の見込めない事業をゼロにする目標の達成に向け、信賞必罰を実行し不退転で臨む考えを示し、成果が出なければ「責任者には変わってもらう」と語った。
楠見氏は9日の都内でのインタビューで、事業部長や事業会社の社長クラスには、「結果が出ていないというところに大変な危機感を持ってもらわないといけない」と話した。こうまで強い態度で臨むのは低迷する株価への強い危機感があるためだ。
株価は昨年末から4%下落。PBR(株価純資産倍率)も0.7倍と、東京証券取引所が資本効率の改善などに向けた事業計画の策定・開示を求める目安とする1倍に及ばない。日立製作所株が11日に最高値を付け、PBRが3倍を超えているのと対照的だ。
パナソニックHDは5月、中期戦略で目標としている自己資本利益率(ROE)10%以上と累積営業利益1兆5000億円について、24年度末を待つことなく達成困難との見通しを示した。
米国モーニングスターの伊藤和典ディレクターは、パナソニックHDのことをコストカットは得意だが売り上げを伸ばすのが苦手だと指摘。事業部の環境認識が甘く、競争力がなくなった事業に対する経営判断も時間がかかり過ぎていると話す。
ROICで判断
同社は5月、投下資本利益率(ROIC)による管理を厳格化し、事業別加重平均資本コスト(WACC)プラス3%以上となるROIC水準を全事業で目指す方針を明確にした。ROICがWACCを下回る事業を課題事業と位置付け、26年度までに撲滅する考えだ。目標の達成見通しは25年度末までに判断する。
低収益に悩むテレビの扱いについて楠見氏は、「国内家電事業にとって必要」であり、赤字を出さない形で継続できるか見極めているという。同社は3月に自動車部品関連事業の米投資ファンドへの売却を発表した。他に同様の手を打つ事業があるかについては「今は緊急性を持っているものはない」と語った。
一方、投資領域に据える車載電池事業については、将来的に生産能力を22年度比で約4倍となる200ギガワット時に高める計画を掲げる。米テスラは主要顧客の一つだが、マツダやスバルとも供給に向けた協議を開始するなど、顧客基盤の拡大を進めていく。
同社の住之江工場(大阪市住之江区)は、主要顧客からの特定の需要がなくなったことで減産が続く。楠見氏は、「こういうことをなくしていくためにも、顧客ポートフォリオの拡大に取り組んでいる」と話す。3拠点目を探る米国市場については、需要の減退で「工場が稼働しないような状況がないような投資の仕方をする」と強調した。
--取材協力:Shery Ahn.
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