(ブルームバーグ): 16日朝の東京外国為替市場の円相場は1ドル=158円台前半と、3連休前の12日夕から上昇して推移。12日の海外時間に1円40銭余り急伸し、市場では政府・日本銀行の円買い介入観測が出ている。日本が祝日だった15日はパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がインフレに関する自信を深めたと述べ、円は一時約1カ月ぶり高値に上昇した。

  パウエル議長は4-6月の経済データでインフレが当局目標である2%に向かって低下しているとの自信を政策当局者が深めたと述べた。利下げのタイミングについては具体的なヒントを示さなかった。米国債利回りが低下し、円は一時157円台前半に上昇したが、その後急速に上げを消した。

  三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、パウエル議長の発言は前週の議会証言から大きく変わっておらず、金利スワップ市場で年内2回以上の利下げ織り込みが強まっていたことから「発言に対する相場の反応は一時的にとどまった」と説明した。

  山本氏は、米国市場でトランプ前大統領がホワイトハウスに返り咲きを果たす可能性が高まったと見方から、市場に親和性のある政策や拡張的な財政政策、規制撤廃を見込んで株価と長期金利が上昇したとも指摘。「弱い経済指標を受けたドル安の流れを下支えした」と述べた。

  円の急伸に対し、市場では介入警戒感がくすぶっている。神田真人財務官は13日未明、為替介入をしたかどうか「申し上げることはない」とした。

  山本氏は12日の円上昇について値幅は大きくない印象だとする一方、11日に実施されたとみられる為替介入が3.5兆円規模にとどまったことから、「当初から分けて実施することを意識していた可能性もある」と指摘。市場では介入警戒感がくすぶり続けるだろうとし、円相場は日本時間夜の米小売売上高を控え、158円付近で積極的な取引が手控えられやすいと予想した。

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