4年生大学への進学が増える中、少子化もあって経営難となる短期大学が増えています。全国では22の短期大学が来年度の募集停止を発表していて、宮崎県内では南九州短期大学が2026年度以降の募集停止を発表しました。
県内で保育士の養成をしてきた短大は2つ。南九州短大の募集停止で、今後は宮崎学園短大が保育士を養成する県内唯一の短大となります。保育士養成の使命を全うしようという、宮崎学園短大の模索を取材しました。
(秦萌記者)
「こちらの教室にいるのは保育士の卵の皆さんです。これまで2年間で学んできたんですが、今年度からは3年かけて学ぶ新しいコースができました。」
宮崎学園短期大学保育科では今年4月に3年コースを設けました。以前は210人だった定員を180人にしても、今年度の入学者は155人と定員割れしました。歴史と保育者養成の実績があるこの短大も、18歳人口の減少で定員割れという厳しい現実に直面しています。
(宮崎学園短期大学 村上昇学長)
「短大の保育科をどうやって残すかということもあります。宮崎学園短大は先生たちの7〜8割を輩出している。うちが募集停止になろうものなら、宮崎の幼児教育・保育園などは全滅に近い。その使命感もありますので、どうしても存続しなければならない。」
2年間で学ぶ短大は授業のスケジュールが窮屈で、夕方まで授業があります。「アルバイトをしながら学びたい」「大学生活を楽しむ時間が欲しい」こうしたニーズに合わせ入学者を増やすため、今年4月3年制コースができました。
今年度の保育科入学者は155人で、このうち43人がこのコースを選択。3年間学んでも学費は2年分で済み、授業は午前中だけ。午後は視野を広げるために時間を使うことができます。
3年制のコースを選択した、椎葉村出身の那須桃華さん。1人暮らしをしていて、午後はアルバイトをして生活費を稼いでいます。
(椎葉村出身 那須桃華さん)
「3年間かけて、2年間の学びをゆっくりできるところに魅力を感じて。平日はバイトに行ったり、遊びに行ったり、1人暮らしをしているのでお買い物に行ったりしています。」
そんな那須さんのアルバイト先は…幼保連携型認定こども園です。那須さんの仕事は午後2時ごろにスタート。園児の活動の補助や遊び、教室の掃除や消毒など。保育の現場の動きを見て実践力を磨いています。
(清武みどり幼稚園 中武亮子園長)
「先生たちは掃除しながら、子供を見ながら、色々な片づけをしながらということをいっぺんにやっているのでとても助かっているし、子供たちも喜んでいる。」
(椎葉村出身 那須桃華さん)
「先生たちは子供でも分かるように伝えるのが本当にすごいなと思います。15実習だけでは見られない園児の姿があると思うので、2年間だと経験できないことを経験できて、3年制コースに来てよかった。」
宮崎学園短大では長く仕事を続けてほしいと就職後も見据えミスマッチ対策にも力を入れています。6月に就職説明会を開き、県北や都城地区から幼稚園・保育園の関係者が学校を訪れ、保育者の仕事について学生に説明しました。
(1年生)
「地元にどんな方針の園があるか知りたくて来ました。」
「保育のやり方とか先生たちの雰囲気とか、やりがいが持てるようなところで働きたいので、そういうところを見つけたい。」
宮崎学園短大では毎年150人近くが保育者になり、そのほとんどが県内で就職します。こうした就職説明会の開催で、保育者の確保と定着に力を注いでいます。
短大が募集停止したら保育士不足に拍車がかかり困るのは子育て世代。保育士の働く環境を整えるのはもちろん、保育士を目指す若い人をどう支えていくかも、大切な視点です。
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