京都で開かれた日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS 2024 KYOTO & IVS Crypto KYOTO」が6日に閉幕し、3日間で延べ1万2000人が来場しました。
国内でも2023年6月に改正資金決済法が施行され、法的な枠組みが整備されたことでステーブルコイン(法定通貨等の特定の資産と連動して価値を安定させるデジタル資産)の発行が可能になりました。
最終日には、ステーブルコインの現状と展望をテーマにトークセッションが行われ、実用化や社会実装に向けて最前線で取り組んでいる事業者が登壇しました。
Japan Open Chain Co-founder 近藤秀和さん
「現在、大企業や自治体と共同運営している国産ブロックチェーンの構築を行っており、地銀らとともに金融機関発のステーブルコイン発行に向けて実証実験を行っている」
日本銀行 FinTech 副センター長 鳩貝淳一郎さん
「中央銀行発行の新しい形態のお金である『CBDC(中央銀行デジタル通貨)』のプロジェクトを担当しており、現時点で具体的な発行予定はないものの64社の民間事業者と一緒になって新しいお金のプラットフォーム創出を図るべく実証実験に取り組んでいる。仮に中央銀行がデジタル通貨を出す場合には、誰でも安心安全かつ簡単、便利に使えるお金であるとともに、デジタル社会にふさわしい決済システムの構築につながることが期待される」
JPYC株式会社 代表取締役 岡部典孝さん
「法改正される前から日本円に連動したステーブルコインの事業を行ってきた。主な取り組みとしては、青ケ島の組合を通じて準備を進めている預金型ステーブルコインや三菱UFJ信託らと準備を進めている信託型ステーブルコイン、年内には資金移動業型ステーブルコインの発行も予定している」
ソニー銀行株式会社 CFO 渡邉尚史さん
「春からステーブルコインの発行に向けた実証実験を開始した。技術面の検証や法的整理に加え、具体的なユースケースの可能性を探っている。将来的には音楽やゲーム、映画といったソニーグループの手掛けるエンタメ領域とも関連させていきたい。クリエイターやアーティスト、ファンを結び付けるような新しい決済体験を生み出していきたい」
また、ステーブルコインのビジネスチャンスや将来性についても議論されました。
Japan Open Chain Co-founder 近藤秀和さん
「ステーブルコインは新しい形の預金とも言える。金融庁の方針にもよるが、恐らく今年後半から来年にかけて、各行からステーブルコインが出てくるだろう。色々な金融事業者からステーブルコインが発行されるようになるとステーブルコイン同士のシェア争いが激化し、金利競争だけではなくサービス競争も生まれてくるのではと予測している」
ソニー銀行株式会社 CFO 渡邉尚史さん
「ステーブルコインの市場拡大で鍵になるのは二つ。一つは選択肢の多様性。もう一つは、適度な緊張感と競争だと考えている。後者については多様なプレイヤー同士が適度な競争関係にさらされることで、より良いものが生まれてくるはず」
JPYC株式会社 代表取締役 岡部典孝さん
「最終的には全世界のステーブルコインが同じ規格になると思っている。JPYCは米ドル連動ステーブルコインUSDCを発行する会社からも出資を受けており、技術的にも高い互換性を持っている。国際規格が統一されることでステーブルコインの送金手数料を安く抑えることが可能になる。そのためには発行ライセンスの相互互換性が必要だが、すでに各国で整備が行われており、この調子で進めば5年以内に実現すると予測している」
ステーブルコインはグローバルで20兆円近くの流通市場があります。
国内で発行されれば、新たな決済手段や新しい形の預金方法として、さらに関心が高まるかもしれません。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。