(ブルームバーグ): 今週ポルトガル・シントラで開催される欧州中央銀行(ECB)フォーラムの出席者は、ユーロ圏第2位の規模を持つフランスの政治情勢からなかなか逃れられないだろう。
今年のフォーラムは仏下院選・第1回投票の翌日にあたる7月1日に開幕する。翌2日には6月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、ラガルドECB総裁とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長とのパネル討論が予定されている。
ユーロ圏のインフレ率は2.5%への鈍化が予想されており、その通りとなれば目標の2%へと近づき、歓迎すべき安心材料を提供する。しかし、仏選挙の結果次第では明るいニュースがかき消される恐れもある。市場では、フランスの財政見通しや市場沈静化に向けたECB措置への警戒が高まっている。
モルガン・スタンレーのエコノミスト、イェンス・アイゼンシュミット氏(フランクフルト在勤)は、中銀当局者は通常、政治議論とは距離を置くが、「金融市場と金融政策の伝達に影響を与え得るため、ECBは動向を注視する」との見方を示す。
「フランスをはじめ各国の政治情勢が目先、金利に影響を与えることはないだろう」と同氏は指摘。「緊急時には、市場安定に向けた国債買い入れが予想される。だが現実は複雑であり、相互に絡み合いがちだ」と述べた。
一方、UBSのフランス担当最高投資責任者(CIO)、クラウデ ィア・パンセリ氏は「ECBは政治問題よりもCPIを注視するだろう」とブルームバーグテレビジョンで語った。その上で「ECBが金利を引き下げる必要があるのは明らかだ。景気は幾分持ち直しているが、回復はなお力不足だ」と続けた。
原題:ECB Gathers With France’s Election Drama Overshadowing Rate Cuts(抜粋)
--取材協力:Tom Mackenzie.
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