【プロスポーツ】バレーボールVリーグ男子「北海道イエロースターズ」は参入5シーズン目の2023、24シーズンでV2リーグ初優勝を飾った。運営会社の北海道イエロースターズ(札幌)代表取締役の平野龍一さんに道民に愛されるチームづくりと今後の夢を聞きました。

大学卒業後、公務員を辞め、たった3人のベンチャー企業へ

――ご出身はどちらですか? どんな子どもでしたか?
出身は高知市です。学校にも行けないほど病弱でしたが、小学2年ぐらいのときに、へん桃腺を全摘出し。そこから元気になって、運動が大好きになりました。走れる喜びや、動ける喜びに感動して活発な子どもに変わりました。
――将来の夢や、なりたい職業はありましたか?
自分を治してくれたのはすごいと思い、お医者さんを目指しましたが、難しくて(あきらめ)次の道を選ぼうと東京の大学に進学しました。
――大学生活を過ごされ、どういったアプローチで社会に出ましたか?
父親が公務員でしたので、民間企業への就職は考えずに、公務員になりました。年功序列の世界で、新しく変えたくても、20代そこそこでは変えられないことが分かり、転職しました。2年間の公務員生活でした。
――その後はどういった仕事に就かれましたか?
自分の意見が通る小さい会社が良いと思い、わずか3人のベンチャー企業に入りました。東京・渋谷にあり、マーケティングやPRを手がける会社でした。7年間、勤める間に会社は社員250人ぐらい(の規模に)成長して、取締役を務めました。その後、もう一段階上の会社で働きたくて東証一部上場の会社に転職しました。全国に営業拠点を作るお仕事をさせてもらい、札幌にも作ったのが北海道との一つ目のご縁だと思います。


東京から、妻の出身地の札幌に転居 豊かな大自然と道民の温かさに感動

――縁はまだあるのですか?
東京で知り合った妻は札幌出身で、東京で3年間ほど生活しましたが、札幌に帰りたいという話になり、札幌で働ける会社を探しました。前職のマネーフォワードという家計簿アプリやバックオフィスのクラウド会計を提供する会社に転職をさせていただきました。
――北海道に魅力を感じていましたか?
北海道はめちゃくちゃ良いと思います。東京の生活と違って、満員電車に乗らなくて済むことと、自然豊かな環境です。最も良いと思ったのが第1子、第2子が生まれた際、お客さんなどから、お祝いのおもちゃや子どものお洋服をたくさんいただいたことです。そうした関係性は東京では作りづらいと感じ、年々、北海道好きになりました。
――バレーボールとのご縁はどのように生まれたのですか?
マネーフォワード時代、サフィルヴァ北海道の選手から新型コロナウイルス感染症で仕事がなくなったと相談があり、コールセンターで雇用する協力をさせていただきました。
――どういう流れでチームを運営する側に回ったのですか?
独立したタイミングで、スポンサーでの協力をさせていただきました。2年ほど前、共同代表の三木智弘さんから、本業が東京で札幌にはあまりいないので、共同代表制を取ってもらえないかと相談を受け、その場で快諾をさせてもらいました。知らない世界には新たな気付きや新たな成長があると、(これまでの転職の)実体験での確信があり、わくわくしました。


愛される社名、チーム名に変更  目指すのは新Vリーグの初代王者

――経営面でどんなことに取り組まれましたか?
社名とチーム名を変えたことです。サフィルヴァ北海道の名前で運営して北ガスアリーナ札幌46が満席になるほど知名度が上がりました。一方で、スポンサーさんに、あいさつに行くと、正しく名前を覚えていただいていないことが多々あり、やはり覚えづらいと感じていました。われわれのホーム会場は家族連れが多く、子どもでも覚えられる名前にした方がコンサドーレさんやレバンガさんのように愛されると思いました。ファンの方がチーム名をイエスタと略すようになり、ネットで検索すると、「イエスタ」と多くの全国のファンの方がつぶやいてくれており、効果は高かったです。
――その他に取り組まれていることは?
Vリーグは次のシーズンでリーグ再編が行われます。V1、V2、V3のカテゴリでの最後の対決でV2優勝を遂げました。次のシーズンでは新Vリーグの初代王者を目指します。


チームからの熱いメッセージ 「それぞれの人生であなたがスター」

――この先、どういうクラブにしたいですか?
北海道イエロースターズに名前を変えたタイミングでミッションを「WE ARE STARS」と変えました。ポスターはビジュアル的に選手が立つ上に「WE ARE STARS」と書かれているので選手がスターと見えるのですが、こちらとしては選手だけでなく、チームスタッフ、スポンサーさん、ファンの方、地域の方など、「イエロースターズに関わる全ての人がスターですよ」「それぞれの人生であなたがスターなのですよ」というメッセージを込めており、その思いを感じてもらえるクラブにしたいです。北海道に住む方々の生活に溶け込むクラブにしたいと思います。
――その溶け込むためにトライされていることは?
スポーツチームはユニフォームをメインに売るのでしょうが、僕らはコアなファンの方にユニフォームを最少ロットは作っていますが、アパレルの方に力を入れています。(今、着ているアパレルの胸には)「STARS」とあり、(腕の部分には)チームのロゴが小さく付いています。クラブの公式のアパレルグッズです。普段使いしていただけるものの方が日常生活に溶け込めると思っています。


果敢にチャレンジ 道民が地元チームと誇りに思うチームづくり進める

――バレーボールの世界では新しい取り組みをされていますね。
最も珍しいと言われるのが選手の練習着への個人スポンサー制度です。選手が試合直前まで着る練習着の背中にファンの方が自分の名前を入れることができます。チームにスポンサーフィーが一部(収入として)入ってきますが、選手もセカンドキャリア(引退後の人生)に向け、それぞれ関係のある会社などに営業をして稼いでもらいたくて制度を設けました。セカンドキャリアはスポーツ選手が必ずぶち当たる壁です。ファンの方も自分のXのアカウント名などが入るのはうれしいですよね。
――ボスとして、どういうところに気をつけていますか?
スタッフに僕も役員も含めて全員バレーボール業界の未経験メンバーが入る珍しい組織です。異業種の考え方や新しい挑戦には、失敗を恐れずにどんどんチャレンジしようと声をかけています。
――これからのイエロースターズの夢、そして平野さん個人の夢は?
個人の夢もイエロースターズの夢もほとんど同じです。今、3歳と1歳の子どもがいることもあって、子どもたちの世代が大人になったときに北海道にイエロースターズというチームがあることを誇りに思ってもらえるクラブを作りたいですね。
――これからも頑張って優勝をしていただきたいです。
今回、優勝してたくさんメディアの方に取り上げていただきました。優勝すると、こういう効果があるのは本当にあらためて再確認できました。

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