新幹線のお医者さんとも呼ばれるドクターイエロー。老朽化して、来年1月以降に引退することがわかりました。ドクターイエローは、線路や電気設備の「健康診断」をするため走りながら検査する列車で、走行速度はお客さんを乗せている状況とほぼ同じ時速約270kmです。

1か月に3回だけ走行し、そのダイヤは非公開、ということもあって、ファンの間では「ドクターイエローを見ると幸せになれる」とも言われています。

JR東海によりますと、東海に所属するT4編成は来年1月で検測走行を終了して引退します。

JR西日本によりますと、西日本に所属するT5編成は、2027年以降をめどに検測を終了する予定です。

2台が引退した2027年以降は、JR東海の持つ営業車両に検測機能を持たせて行うということで、容姿が黄色い新幹線は、将来見納めになるというのです。

JR社内でも乗れる社員はほんの一握りというレアな列車を、MBSニュースは22年秋、特別に車内を取材させていただきました。

2時間かけて見にきた人も…滅多に出会えない『ドクターイエロー』

 9月某日のJR博多駅。この日、新幹線のホームにいつもと少し違った空気が漂っていました。

 (JR博多駅のホームにいた人)
 「長崎から来ました。2時間くらいかけて」
 「子どもが好きで。(Qグッズも?)持っています。写真撮りたいですね」

 ソワソワする親子連れ。表示には「回送列車」の文字が。彼らのお目当ては…。

 (記者レポート)
 「鮮やかな黄色い列車がやってきました」

 目を引く黄色に凛々しい顔つき。圧倒的な存在感を放つこの列車こそ、『ドクターイエロー』の名で親しまれる滅多に出会えないレアな列車。

 通常は乗ることができませんが、今回、特別な許可を得て車内を取材させてもらうことになりました。

 (記者リポート)
 「今からドクターイエローの中に潜入してきます」

先頭車両から潜入!7号車はレクチャールーム

 まずは先頭の7号車。中には意外にも普通の新幹線と同じく座席が並びます。何をする場所なんでしょうか?

 (JR西日本・新幹線鉄道事業本部 赤塚繭子さん)
 「添乗室と言われていまして、部外の人がいらっしゃった際に、何かを説明をするときなどに使用する所です」

 7号車は研修や来客向けのレクチャールームとなっていて、新幹線と同じく50席あります。座席は昔使われていたもので、今はなき灰皿もありました。

 車両にはモニターがあり、ドクターイエローに備え付けられたカメラ映像が確認できるということですが…。

 (JR西日本・新幹線鉄道事業本部 赤塚繭子さん)
 「映さないでほしいです。ここはモザイクでお願いします」

 検測した数値はセキュリティの関係で非公開。鉄道という重要なインフラを支えているため厳重に扱われているんです。

6号車~1号車はどうなっている?順番に取材

 新幹線のお医者さんとも呼ばれるドクターイエロー。線路や電気設備の健康診断をするため走りながら検査する列車です。走行速度はお客さんを乗せている状況とほぼ同じ時速約270km。車両は7つあり、それぞれに違った役割があるといいます。

 応接室として使われている6号車で気になっていたことを聞きました。

 (JR西日本・新幹線鉄道事業本部 赤塚繭子さん)
 「(Qドクターイエローはなぜ黄色?)白地に青いラインっていうものが一般的に営業列車に使われているので、黄色にすることでお客さまが乗る列車じゃないよっていうことをわかりやすくするようにとか。諸説あるようです」

 5号車にやってくると突如、謎の階段が出現。階段の上には座席が1つ。

 ここは電線から車両に高圧の電気を送るパンタグラフを観測する場所。目視で接触状態に問題がないかなどを確認することができるのです。

 続いて4号車へ。ここはドクターイエローの心臓部だということで、検測したデータが集約される場所なんだそうです。

 モニターをじっと見つめる3人組。何をしているのでしょうか。

 (レールテック・技術リーダー 曽根研志郎さん)
 「レールの状態を、ゆがみ・ねじれなどを収録して、線路に異常がないかを確認しています」

 異常があればすぐに指令所へ報告する必要があるため、検測中は絶えずチェックしているのです。驚くべきはその細かさ。

 (レールテック・技術リーダー 曽根研志郎さん)
 「ミリ単位で測定しているので、コンマ何ミリという差が出てくるという感じですね。気は使います。ずっと見ていますね」

 他には、3号車でも、5号車と同じパンタグラフを確認することができます。

 2号車には電線から流れる電圧などを確認できる機械を配備。

 1号車では無線や信号などに異常がないかチェックしています。

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