歴史的な賃上げ率となった今年の春闘ですが、4月の実質賃金は25か月連続のマイナスで、物価高に賃上げが追いつかない状況が長引いています。働く人のランチ事情にも、そのしわ寄せが…

■“500円の壁” のり弁も原材料費高騰…でも「値段は上げられない」

高柳光希キャスター:
6月から所得税と住民税合わせて1人4万円の「定額減税」が実施されますが、厚生労働省が5日に発表した毎月勤労統計調査によると、4月の現金給与の総額が29万6884円となり、前年同月比で2.1%の増加となっています。

28か月連続の上昇となっている一方、実質賃金は、前年同月比で0.7%の減少です。25か月連続の減少となり、過去最長を更新しました。賃金の上昇が物価の上昇に追いついていない状況が続いています。

オリジン弁当は人気商品「タルタルのり弁当」を320円で価格は据え置き、値上げをしないという方針が出されています。キッチンオリジン商品開発部の伊藤寛師部長は、「ちくわ・きんぴらごぼうの改良などで価格をギリギリ維持できている状態。来店のきっかけになれば」としています。

都内で数店舗を展開している弁当店「キッチンDIVE」はどのような状況なのでしょうか。「日替わり弁当(のり弁当)」(500円)の原材料費は、▼メンチカツが5割増、▼のりが10割増、▼米が1~2割増、▼白身魚フライが5割増、▼鶏の唐揚げが7割増、▼容器が2割増しとなっているそうです。店長は「値段は上げられない。500円(ワンコイン)の壁は大きい」としています。

ホラン千秋キャスター:
色々なものが高くなっている中、ワンコインで買える弁当を「ありがたい」と思う消費者も多いと思いますが、お店の負担は大変ですよね。

萩谷麻衣子弁護士:
本当にそうですね。2024年の春闘での賃上げ率は5%超えという相当な率と言われていましたが、5%を超えたのは大企業のみで、中小企業は3%台にとどまっているようです。

中小企業の経営者に話を聞くと、「賃上げはしたが、人材確保のためであって非常に厳しい状況」とか、「価格転嫁はできたが、原材料費の高騰で吸収できていないから、さらなる賃上げは無理」とか、やはり苦しい状況のようです。

経済の専門家は、賃上げや定額減税の効果は2024年の後半くらいに出てくるのではないかという人もいるので、期待したいなと思います。

井上貴博キャスター:
物価の上昇も夏までは避けられないという状況で、年末には落ち着いて、賃金も上がってくるのではないかという専門家もいますが、円安の状況は誰にも読めません。円相場は日本がグリップできないですし、不確実要素が多い中で少し給料が上がったからといって、消費に回そう、買い物をしようとはならないように思います。「まず貯めないと」となるので、やはり良いサイクルにはならないのではないでしょうか。

■外食から自炊へ切り替える人も ランチ代の予算は?

高柳キャスター:
値上げは続いていますが、お昼ご飯を抜くわけにはいきません。お昼ご飯にどのくらいの予算を充てているのか、街の人に聞いてみました。

20代女性(職場にお弁当を持参)
「一時期コンビニで買っていたんですけど、出費大きいなと思って、それからは頑張って作るようにしています。1日平均1000円弱って考えたらけっこう(1か月あたり)3万円とか(節約できている)」

20代学生(コンビニで約800円)
「飲み物、ごはん、プラスひとつ、トータル800円くらいになっちゃう。(Q.何を重視しているか)私は価格ですね、あとはその時食べたいもの」

20代学生(水のみ)
「私は800円もかけない、200円くらい。2リットルの水でおなかいっぱいになります。(Q.何を重視しているか)私は確実に栄養面です。添加物や防腐剤が入っているものはあまり食べたくないので。同じ200円でもコンビニでおにぎりを買わずに焼き芋とかを買ったり」

女性(予算は1000円以内)
「食堂を使ったり、お弁当を持って行ったり。コンビニで買うよりは食堂のほうが、健康面を意識すると良い感じ」

3月に行われた「働く人のランチ実態調査」(リクルート「ホットペッパーグルメ外食総研」)によると、自炊をしている人は、▼自宅での食事は31.1%、弁当が19.2%、外食などをしている人は、▼コンビニなどで購入が20.4%、▼外食店を利用が7.8%となっています。

平均予算は自炊や弁当という人は392円、外食店を利用する人は1243円となっていて、外食を続けると節約は難しい状況といえそうです。

ホランキャスター:
手間暇はかかりますが、外食店で食べるプレートを自炊で再現したら安くできると思うと、「大変でも作ろうかな」という気持ちになります。

萩谷弁護士:
平日の3日ほど、592円のお弁当を買うことがあるんですが、「600円でお釣りが来るってすごい」と思うお弁当で、企業努力されているんだろうと感じます。

井上キャスター:
企業努力は本当にありがたいですが、それだけ身を削っていて、従業員もいて…安いのはありがたいですが、そちらも気がかりになってしまいます。

ホランキャスター:
いつまで極端な円安が続くかによって、もっと苦しくなる可能性もあるわけです。

井上キャスター:
年末にかけて実質賃金がどのくらい上がるかということも重要かもしれません。

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<プロフィール>
萩谷麻衣子 さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当

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