公正取引委員会は5日、下請法の2023年度の運用状況を公表し、違反した親事業者に対する「勧告」の件数は、直近10年で最多となった。

公取委は毎年、下請取引が公正に行われているかどうかを把握するために、親事業者や下請事業者にアンケート調査を行っていて、2023年度は、その調査件数が過去最多の41万件にのぼった。

こうした中、下請法違反と認定され、違反行為の取りやめや、再発防止などを求める「勧告」が出されたのは13件にのぼり、直近10年間で最多となった。

また、下請事業者に不当に負担させた費用として親事業者が支払った原状回復額は、日産自動車による下請事業者への減額事件では約30億2400万円、王子ネピアによる発注の一部取り消し事件では約2600万円となるなど、被害額の大きな事件が相次いだ。

そのため、2023年度の原状回復額の総額は約37億2800万円にのぼり、過去2番目の規模となった。

公取委は「価格転嫁の分脈では、日産の事件は象徴的だ。引き続き価格転嫁の観点での調査を継続していく」とコメントしている。

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