顧客からの理不尽な要求や嫌がらせなどのカスタマーハラスメントの被害が相次いでいます。こうしたなか、従業員を守るための取り組みが広がっています。

■カスハラ被害相次ぎ…対策広がる

 先月30日、沖縄のラーメン店で目を疑う出来事が…。

 2人の男性客は、酒に酔った様子だったといいます。店員を呼び止めると、突然1人が怒り出し、つかみかかります。仲間がなだめ、男性の怒りは収まったかと思いきや、今度はラーメンを店内にぶちまけました。

被害に遭った店
「調味料を提供したが、その時の態度が気にくわなかったよう」

 客からの迷惑行為を受けるカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」が、様々な業種で問題になっています。

会計ソフト会社 カスタマーセンターの音声
「ふざけた回答してんじゃねえぞ、オラ!殺すぞ、お前!おい、録画(録音)しているんだったらな、警察に行ってな、脅迫罪でもなんでもいいから言えや!ああん!?なめてんのか、おら!」

 弁当店では…。


「おい、バカ」

 酔った客が現金を投げ付け、恫喝(どうかつ)。


「やるよ、早く。置いてきゃあいいんだろ。金払ったら客だろうが、こらぁ!おい!」

 街の人も、被害を訴えます。

27歳の人(コロナワクチンの予約対応)
「電話対応でなかなかつながらなくて、その時につながらないことに対して強い口調で言われて、『バカ、バカ』『ふざけるな』はあった」

36歳の人(クレジットカード会社)
「『お支払いをお願いします』と丁重に話をするが、『払えないものはしょうがねえだろう』と一方的にワーッと文句を言われて。精神的に持たないと思って、辞めた」

 ANNが行った調査では全国42の自治体のうち、およそ8割が「カスハラを受けた」と回答しました。職員への暴言や説教、土下座の強要もあったそうです。

 先端技術を使った対策も進んでいます。こちらのシステムではAI(人工知能)を使ってカスタマーハラスメントの対応の練習ができるということです。ホテルのチェックイン対応の練習を実際にやってみます。

カスハラする客役のAI
「何でこんなにチェックイン遅いんだよ、もっと早くしろよ」

駒見直音アナウンサー
「お気持ちはお察ししますが、他のお客様も一斉に3時からチェックインとなっておりますので、もうしばらくお待ちいただけますでしょうか?」

カスハラする客役のAI
「待つってなんだよ。俺は特別なんだから、普通の客と同じ扱いするなよ。今すぐ部屋を用意しろ」

駒見アナウンサー
「まだ部屋が掃除中でして、お客様をご案内することができませんので、もうしばらくロビーのソファでごゆっくりお待ちいただけますと幸いです」

カスハラする客役のAI
「なんだと。こんな待たされるなんて信じられない。ちゃんと管理しろよ。今すぐ部屋を用意しろ。もういい帰る。こんなホテル二度と使わないからな」

 改善策の提案も行われます。

AIのアドバイス
「客の怒りや不満に対して十分な共感を示すことができず、問題解決への提案も遅れがみられました」

インタラクティブソリューションズ 関根潔社長
「初めての人がいきなりコールセンターで怒られて、その場で嫌になって辞めてしまうのは、せっかく作ったキャリアを崩してしまう。そうではなく、練習してうまく対応できるようになれば」

 AIを使って、クレームを受ける側の心理的な負担を減らそうとする技術も進んでいます。

クレーム音声
「強調ぐらいしてくれないと訳分からない、誰も読まない。こんな小さい字で書きやがって、誰がこんなの読むんだよ」

 こうした強めの口調をAIがリアルタイムで穏やかな声に変えます。開発したソフトバンクは、来年度中の事業化を目指しています。

 企業もカスハラ対策を進めています。航空大手のANAホールディングスはカスハラに複数人で対応するとともに、相手の承諾を得たうえで録音・録画などの記録を残すことを決めています。

 JR西日本や東京電力エナジーパートナーなど大手企業での対応は広がっていますが、「カスハラ」の定義が定まっていないため、法整備が課題になっています。

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