財務相の諮問機関の財政制度等審議会は、議論を通じての意見の集約となる建議をまとめた。
建議では、日本の現状を、少子高齢化・人口減少が急速に進展しているうえ「金利のある世界」がすでに現実のものとなっていると指摘。
自然災害や安全保障環境の変化などに備えた財政余力の確保の必要性も高まっているほか、財政に対する市場の信認が失われれば、国民生活の悪化も懸念されると警鐘を鳴らしたうえで、財政の強靱(きょうじん)化を強く求めた。
経済が活力を取り戻し、物価・賃金が上昇、金利が上昇基調の今、歳出をいち早く平時化させ、持続可能な財政構造の構築に取り組む必要があると提言した。
そのため、政府が掲げる財政健全化の目標である、2025年度の国・地方のプライマリーバランス黒字化と、債務残高対GDP(国内総生産)比の安定的な引き下げを堅持したうえで、規律ある歳出改革の取組継続を強く求めた。
国の借金にあたる国債の利払い費の増加に備えた財政赤字の縮減については、具体策として、公立学校の教育の質向上や教員の給与改善に予算や税制優遇を見直すことや、医療については、人口減少に応じた大学医学部定員の削減や、健康保険の負担を年齢ではなく、能力に応じたものとするよう検討するべきだとも提言している。
財政審財政制度分科会の増田会長代理は「緊急的な災害や感染症等のリスク等への備えや、国民福祉の向上のためにも、常に財政余力を蓄えておくことが大変重要だ」と強調し、「金利の上昇局面にあるこの時期こそ、いっそう財政当局が緊張感を持って取り組んでいただきたい」と政府に注文をつけた。
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