トランプ前米大統領(77)が不倫の口止め料を不正に処理したとされる刑事事件の裁判で、当時の顧問弁護士マイケル・コーエン氏(57)が14日、東部ニューヨーク州の裁判所に前日に続いて証人として出廷した。米メディアによると、コーエン氏はトランプ氏側による反対尋問で、陪審が有罪評決を下すのを見たいかと問われると「もちろんだ」と答えた。
トランプ氏側はこの日、腹心だったコーエン氏が金や復讐(ふくしゅう)のために事件を利用していると主張した。今回の事件などに絡んで2018年12月に実刑判決を受け、収監された過去があるコーエン氏はこれまで、トランプ氏を「独裁者で最低な野郎」などと批判。トランプ氏関連の書籍も出版した。コーエン氏はこうした発言を認め、書籍の売り上げも340万ドル(約5億3188万円)を超えたとした。
一方、コーエン氏は前日に続いて検察側の尋問も受けた。コーエン氏が18年4月に米連邦捜査局(FBI)から家宅捜索を受けるとトランプ氏は擁護に回ったが、コーエン氏はこうした姿勢が自身をけん制するための「圧力」だったと証言。家族の説得もあり、反旗を翻して捜査当局と司法取引に応じたと振り返った。
また、トランプ氏との関係を問われると「忠誠を尽くし、彼(トランプ氏)に頼まれたことをするため、倫理観に違反した」と述べた。「罰を受けた。私の家族も同様だ」とも語った。
起訴状などによると、トランプ氏は大統領初当選直前の16年10月、コーエン氏に元ポルノ女優のストーミー・ダニエルズ氏(45)に対して13万ドルを立て替え払いするよう依頼。その後自身の親族企業を通じて「弁護士費用」名目で弁済した。検察は選挙前に不利な情報が出るのを防ぐため、口止め料の支払いを隠す目的でトランプ氏が親族企業の業務記録を改ざんしたと主張している。コーエン氏は13日の証言で、トランプ氏から口止め料の支払いを命じられたと述べていた。【ニューヨーク中村聡也】
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