ドジャースの勝利からおよそ13時間半後の日本時間15日午前3時すぎ、水原一平被告がロサンゼルスの連邦裁判所に姿を見せました。

■騒動も…裁判長が異例の謝罪

 3月の事件発覚以降、初めて報道陣の前に現れた水原被告。

 白いシャツに上下黒のスーツ姿でノーネクタイ。60人以上集まった記者が「大谷さんに何か言いたいことはありませんか?」「大谷選手に何かメッセージはありませんか?」など次々と質問を浴びせますが、水原被告は日米の記者の質問に答えることなく、フリードマン弁護士の後ろを無言のまま裁判所へ向かいます。

 違法なスポーツ賭博のため、大谷選手の口座からおよそ26億円余りを不正に送金した銀行詐欺の罪や、嘘の納税申告書を作成し所得を申告していなかった罪で起訴されています。

 当初、日本時間の10日に予定されていた2回目の審問。準備が整わないとして、15日に延期されていました。

 裁判所の入り口で、セキュリティーチェックを受ける水原被告。靴を預け、ベルトを外し上着を脱ぐと、シャツの裾はズボンの外に出たまま。上着を肩に掛けますが、同行した弁護士と比べると、どこか無気力な様子にも見えます。

 水原被告の2回目の審問は、開廷1時間前から異例の事態になりました。

 審問を傍聴しようと待っていた記者らおよそ50人に対し、警備員が「裁判官の指示」だとして、別室での傍聴を指示したことで、記者たちが反発しました。

記者
「廷内を取材できないことに抗議しよう。これは明らかに廷内公開の原則に反している」

 急きょ作成された抗議文書に、46人の記者が署名するという騒動に発展しました。

 結局、別室での傍聴となった記者たち。映像は映らず、音声だけが流されたといいます。

 日本時間15日午前3時半に開廷した、水原被告の2回目の審問。その冒頭、裁判長から記者たちに対し、異例の謝罪が行われました。

裁判長
「このような事態となって申し訳ない。警備から安全確保できないリスクがあり、こう判断したと聞いている」

 その後、水原被告に対する審問に移りました。

裁判官
「水原一平被告、名前の読み方に間違いありませんか?」

水原被告
「はい(YES)」

裁判官
「前回の審問の際に、被告の権利書類に署名しました。改めて確認しますが、この書類に自分で署名しましたか?」

水原被告
「はい(YES)」

裁判官
「署名する前に、十分に検討する時間はありましたか?」

水原被告
「はい(YES)」

 裁判官の質問に、淡々と「YES」と答える水原被告。

裁判官
「これより答弁に入ります。水原被告、2つの起訴内容についてどう答弁しますか?」

水原被告
「有罪答弁を避けます」

 罪状認否で、有罪答弁を避けた水原被告。すでに司法取引で有罪を認めていますが、担当した裁判官が、重罪事件の有罪答弁を受けられないための形式的なもので、来月14日に決まった次回の審問で有罪を認める予定です。

■水原被告…報道陣の問い掛けに「無言」を貫く

 およそ5分の審問を終え、裁判所から出てきた水原被告。

力石記者
「止まりましょう、水原さん。カメラの前で止まりましょう」
「水原さん、コメントないんですか?大谷選手に、本当にないんですか?本当に何もないんですか?ずっと一緒にやってきて」

記者
「水原さん、大谷選手は本当に水原さんのことを信頼していたと思うんですが、その信頼を裏切ったことについて、一言お願いします」

 現地の記者の問い掛けもヒートアップ。

現地の記者
「一平、何かしら声明を出すべきだ!何かしら言うべきだよ!」
「一平、友達の大谷翔平にしたことを申し訳なく思ってる?」

 水原被告が報道陣からの問い掛けに無言を貫くなか、同席したマイケル・フリードマン弁護士は、こう述べました。

フリードマン弁護士
「本日、私たちはコメントするつもりはありません」

 水原被告はカメラの前では一言も語らず、車に乗り込み裁判所を後にしました。

■ロバーツ監督「水原被告の状況を把握すらしていない」

ドジャース 大谷翔平選手(29)
「彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつみんな僕の周りにも嘘をついていた。結論から言うと、そういうことになります。正直ショックという言葉が正しいとは思わないですし、それ以上の…うまく言葉では表せないような感覚で」

 数年にわたり、大谷選手の口座から不正に送金をし、ドジャースから解雇された水原被告。日本時間先月25日、水原被告の存在について、大谷選手は、こう述べていました。

大谷選手
「(Q.お友達(水原被告)がいなくなり、何か感じるものは?)失った…そうですね、それ以上にチームメイトもそうですけど、支えてもらっている。サポートしてくれている人たちがたくさんいるので。むしろ、そっちのほうがありがたいなと」

 水原被告の司法取引の合意を受け、ドジャースを指揮するロバーツ監督は、次のように話します。

ロバーツ監督
「(Q.1時間ほど前に、水原被告が銀行詐欺の罪を認めたとの情報が入ってきましたが?)分からない。水原被告の状況を把握すらしていない、だからそのことについてノーコメントだ。ただ、これがさらに終わりに近づき、私たちが前に進むことができるようにと望んでいる」

■「歯の治療で930万円詐取」の手口も…

 当初、水原被告の罪状認否は日本時間10日の予定でしたが、延期になりました。9日に提出された司法取引の合意書には、大谷選手から金を騙し取った、「歯の治療で930万円詐取(さしゅ)」という新たな手口も明らかになりました。

 去年9月、水原被告が自身の歯の治療に必要だと大谷選手の同意を得て、治療費として、およそ930万円の小切手を受け取っていましたが、実際には大谷選手のデビットカードで支払い、受け取った小切手は現金化し、自身の口座に入金していました。

 去年9月の大谷選手と言えば、右ひじの靭帯(じんたい)損傷で手術を行い、シーズンの残り試合を欠場すると発表したタイミングでした。

 満身創痍(そうい)の大谷選手から高額の治療費を騙し取っていた水原被告。2018年の頃と比べると、今年の写真は歯と歯の隙間がなくなり、色は白くなったように見えます。

■「24時間自由時間」米国の刑務所の実情

 銀行詐欺と虚偽申告の罪で起訴され、最長で33年の禁錮刑の可能性がある水原被告。刑が確定した際に入ることになるアメリカの刑務所は、どういった施設なのでしょうか?

刑務所の職員
「素行の良い受刑者たちなので、このオープンな寮に収容され、机もあります」

 ユーチューブで公開されている、アメリカの刑務所内の映像。そこには、受刑者が笑顔で会話や食事をする様子が映っています。

刑務所の職員
「ここには2段ベッドがあります。ここもオープンになっていて、個室はありません。トイレとシャワーは共同です」

 穏やかな様子の刑務所内。10年ほど前、飲酒運転などの罪でアメリカの刑務所に収監されたことがある男性が、実情を語りました。

約1年アメリカの刑務所に収監 サムさん(58)
「『身柄を拘束しますよ』ってだけの話で。無理な命令も何もないし、基本的には24時間自由時間」

 刑務所内では、こんなこともあったといいます。

サムさん
「(Q.賭け事は、ないのか?)やっていますよ、もちろん。チェスのみじゃなくトランプカード、色んなゲームがあるんですよ、中でできる」

 賭けるのは刑務所で買える食料や日用品。部屋にはテレビがあり、中継を見ながらスポーツの試合への賭けも行われていたといいます。

 受刑者だけの塀の外と変わらないような生活ですが、サムさんは命の危険を感じる日々だったと話します。

サムさん
「2階は白人とヒスパニック系、1階は黒人や日本人など」

 人種によってグループができ、トラブルも多くあったといいます。

サムさん
「自由って言いましたけど、全部を受刑者の裁量に任される。逆に言えば、誰も守ってもくれない。自分で自分を守るしかない」

 水原被告が刑務所で生活を送ることになった場合、同じような環境になるのでしょうか。

駿河台大学名誉教授 島伸一弁護士
「受刑者の特性に応じて、しかるべき施設に送るということになると思う。(水原被告は)暴力的な犯罪ではないし、厳しいところにはいかないと思う」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年5月15日放送分より)

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