パレスチナ自治区ガザ地区の最南部ラファから避難する市民ら=2024年5月13日、ロイター

 米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は13日の記者会見で、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区で実施する軍事作戦について、「ジェノサイド(集団虐殺)とは思っていない」と述べた。軍事作戦を巡っては、南アフリカが「ジェノサイド」に当たるとして国際司法裁判所(ICJ)に提訴している。

 ガザの保健当局によると、12日時点の死者数は3万5000人を超え、このうち約4割が子供だという。南アは2023年12月、ジェノサイド条約に基づきイスラエルを提訴。トルコやコロンビアが訴訟に加わり、エジプトも追加で参加を表明している。

 一方でサリバン氏は「イスラエル軍による軍事作戦が、将来のガザやパレスチナ人に関する政治的な計画を伴わない限り、テロリストが再び戻ってイスラエルは脅威にさらされ続ける」と指摘。イスラエルに対し、戦後の治安維持などを見据えた対応を取るよう求めた。ブリンケン米国務長官も12日の米テレビのインタビューで、「(計画がない限り)混乱や無政府状態に陥り、ハマスが再び台頭する可能性がある」と述べている。

 サリバン氏はイスラエル軍によるラファへの侵攻について、「中心部に大規模な軍事作戦を展開することは間違いだ」と改めてイスラエルに自制を要求。その上で、「イスラエルは罪のない市民を確実に保護するため、もっとやれることがある」と述べ、市民の保護や人道支援の強化を求めた。【ワシントン松井聡】

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