戦闘で負傷した子ども=パレスチナ自治区ガザ地区南部ラファで2024年5月10日、ロイター

 イスラエルの戦時内閣は9日夜、パレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファで軍事作戦を拡大することを決めた。米ニュースサイト「アクシオス」が伝えた。ハマスへの軍事圧力を強め、人質解放に向けた取り組みを続けるという。一方、ガザ地区の休戦交渉を巡り、イスラム組織ハマスは10日、イスラエルが仲介国による休戦案を事実上拒否したことで、交渉は振り出しに戻ったと述べた。イスラエルによるラファでの軍事作戦などを踏まえ、交渉戦略を再考するとしている。

 アクシオスによると、イスラエルの軍事作戦拡大について関係者の見方は分かれている。ラファ侵攻に反対するバイデン米大統領の「レッドライン(超えてはならない一線)」を超えない「慎重な拡大」との見方がある一方、「レッドライン」を超えたと捉えられかねない作戦が含まれていると指摘する関係者もいるという。

 またロイター通信によると、イスラエル軍は10日、南部ラファを東西に分ける幹線道路を占領し、事実上、ラファの東部全域を包囲した。ハマスは10日、イスラエル軍がラファ東部の市街地から数キロ離れた郊外まで侵入したと主張した。

 米メディアによると、イスラエルは7日、エジプトとの境界にあるガザ側のラファ検問所を制圧したが、エジプトと十分な調整をせずに行ったという。エジプトは、イスラエルが開放しているガザ地区南東部のケレム・シャロム検問所に、ラファから人道物資を積んだトラックを送るのを拒否。ラファ開放に向け、イスラエルに圧力をかけているとみられるが、その影響もあり、ガザ地区への食料や燃料などの搬入は滞っている。

 AP通信によると、国連人道問題調整事務所(OCHA)の職員は、国連食糧計画(WFP)がガザ南部で配る食料は11日までに枯渇するだろうと指摘。燃料も間もなく枯渇し、病院の業務に支障が出かねない状況だという。【エルサレム松岡大地】

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