ガザ地区に人道救援物資を運ぶため、ケレム・シャロム検問所を通るトラック=2024年3月14日、AP

 イスラエル軍は12日、パレスチナ自治区ガザ地区北部の検問所から食料を搬入したと発表した。昨年10月にガザを支配するイスラム組織ハマスとの戦闘が始まって以来、北部の検問所が開いたのは初めて。米国のカービー大統領補佐官は同日「イスラエルは約束を守ったがまだ不十分だ」と指摘。トラックの台数や物資の量は明らかになっておらず、多くの支援物資が入るように圧力をかけ続けていく姿勢を示した。

 米ニュースサイト、アクシオスによると、米国際開発局(USAID)のパワー長官は10日、ガザ北部の人たちが飢餓に直面していると述べた。米当局者がガザの飢餓を公言するのは初めて。パワー氏は下院外交委員会の公聴会で「ガザ南部で差し迫った飢餓を回避する十分な食料が供給されておらず、北部では既に子どもが飢餓で亡くなっている」と指摘した。

 今回、イスラエルが開けた北部検問所は、当初開放予定だったエレズ検問所とは別の場所で、新たに設けられた。イスラエルメディアによると、パレスチナに強硬的な極右政党の支持者らが物資の搬入を妨害する恐れを考慮した。実際、南部の検問所を開けた際には右派市民が物資の搬入を妨害する事態が発生した。

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリーニ事務局長は12日、X(ツイッター)で「支援物資の増加はまだ目に見えるものでも、持続的でもない。すべての人に安全に届けられる必要がある」と指摘した。【エルサレム松岡大地】

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