北朝鮮による拉致被害者の家族会や支援組織「救う会」などの訪米団は4月29~30日、首都ワシントンで米政府高官や連邦議会の上下両院議員らと相次いで面会した。岸田文雄首相が模索する日朝首脳会談に向けて協力を要請。被害者の「親世代」が存命のうちに帰国が実現した場合、日本独自の制裁解除や人道支援を容認する家族会の運動方針への理解を求めた。
訪米団は30日、ゼヤ国務次官(民主主義・人権・民間安全保障担当)や前駐日大使のハガティ上院議員らと面会。同日夕にワシントンで記者会見し、面会内容を説明した。
横田めぐみさん(行方不明時13歳)の弟で家族会代表の横田拓也さん(55)は、高齢のために活動が困難になった母早紀江さん(88)の写真を面会相手に見せながら、被害者や家族が高齢化する現状を説明。「北朝鮮には怒り、憎しみしかない。(日本が)対話路線に軸足を移したのは苦渋の決断だが、時間の制約のある人権問題なのだ」と訴えた。
田口八重子さん(同22歳)の長男で家族会事務局長の飯塚耕一郎さん(47)は、対北朝鮮制裁の履行状況を監視する国連安全保障理事会の専門家パネルの任期が30日で切れることに懸念を示し、「代替の活動を検討してほしい」と伝えた。【ワシントン秋山信一】
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