欧州の記者やメディアが参加する調査報道グループ「ロスト・イン・ヨーロッパ」は4月30日、2021~23年に域外から欧州に到着後、行方不明になった子どもの移民が5万1433人に上るとの調査結果を発表した。独メディアは「犯罪組織の手に落ちたり、性的虐待を受けたりする可能性がある」と警告している。
欧州連合(EU)加盟国や英国、モルドバなど31カ国を対象に、保護者がいない状態で入国し保護された未成年者のうち、その後所在が分からなくなった人数を問い合わせた。13カ国からデータが寄せられたという。保護者がいなかった理由は不明だが、はぐれたり、何らかの事情で子どもだけ先に送り出されたとみられる。
記者が調査に加わったドイツの放送局「rbb」などによると、ドイツでは保護された子どもの移民は一時保護施設で過ごすが、その後の処遇が決まるまで数カ月にわたって待たされるケースがある。その間に耐えきれずに脱走したり、親戚や知り合いのもとへ行こうとしたりして行方不明になった可能性があるとみられる。
行方不明となった子どもの数は前回の調査(18~20年)では約1万8000人だった。欧州には近年、15年の難民危機以来のペースで中東やアフリカなどから難民・移民が流入している。ロスト・イン・ヨーロッパは、実際の行方不明者は「もっと多い可能性がある」としている。【ベルリン五十嵐朋子】
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