弾劾案が可決された尹大統領をめぐり、事態が動き出しました。韓国の憲法裁判所は、弾劾審判を今月27日から開始すると発表しました。
戒厳令発出から2週間近く経ちますが、今なお影響が残る町があります。北朝鮮にほど近い“南北境界の町”を取材しました。
■北朝鮮“弾劾案可決”に初言及
弾劾採決が終わり、週が明けたソウル。街中は一見平穏ですが…。
この記事の写真 下村彩里アナウンサー「憲法裁判所の前には、尹大統領を批判する葬式用の花が飾られている一方で、大統領を称賛するお祝い用の花もずらっと並んでいます。こちらは『大統領の戒厳令は違法ではなく合法だ』と書かれています。弾劾の賛成派と反対派がぶつかり合うなかで、憲法裁判所は16日、尹大統領の弾劾の審判を最優先して審理すると表明しました」
政情不安な状況下で、北朝鮮とのバランスは大丈夫なのでしょうか。北朝鮮は16日朝も弾劾について言及しました。
朝鮮中央通信「傀儡韓国で14日、尹錫悦傀儡に対する弾劾案が可決された。非常戒厳妄動の責任を野党と誰それの脅威に転嫁し、群衆の弾劾闘争を『狂乱の剣舞』と冒とくした」
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■町に異変「軍人の9割が消えた」ソウルから車で2時間半。DMZ(非武装地帯)から一番近い町、華川(ファチョン)。北方防衛任務の最前線を担う第七師団の駐屯地の側ということもあり、町中では軍人の姿が目立ちます。それでも…。
軍用品店の店主(Q.軍人の人たちの客足に変化は)
「ほぼ全滅です。軍人の方たちは非常事態ですからね」
(Q.戒厳令後に変化が出てきた)
「そうですね」
(Q.だいたい何割くらい減った)
「9割かな」 タクシー運転手
「幹部が夜に出歩くのは減った気がします」
駐屯地の中に籠る軍人たち。ただ、北朝鮮を警戒してのことではないようです。
韓国軍の兵士「戒厳令は軍隊においては最大の事件。落ち着かず、気分的に疲れます。弾劾可決でも特に大きく変わりません」
戒厳令そのものが軍全体に大きなストレスをかけていて、その影響がまだ残っていました。住民の会話にも変化が出ています。
母親「軍隊は行きたい?」
息子
「どうせ行かないといけない」
母親
「行かなくてもいいと言われたら行かない?」
息子
「うん」
母親
「何で行きたくないの?」
息子
「その時、戦争が起きたらどうする?」
母親
「戦争を経験したことないでしょ?戦争がどういうものか知らないでしょ?」
息子
「人がたくさん死ぬことでしょ?」
母親
「たくさん死んじゃうし、生き残る人もいるし」
息子
「見たくない」 息子
(Q.軍隊の話は何で聞いた)
「軍隊の話がなんとなく知りたかった」
■“弾劾審判”27日に開始
自国民に対して軍を動かした尹錫悦大統領。いまだ検察などの出頭命令には応じていません。ただ、その権限ははく奪され、今月27日から弾劾審判の最初の弁論準備手続きが始まります。結論は180日以内に出される予定です。
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