アサド政権が崩壊した中東シリアでは、首相が反体制派の指導者と会談し、政権の移譲に合意したということです。こうした中、イスラエルはシリアとの間にある係争地「ゴラン高原」の緩衝地帯に軍を展開させていて、国際社会から非難が相次いでいます。

反体制派勢力を主導した「シリア解放機構」のジャウラニ指導者は9日、ジャラリ首相と会談し、政権移譲について話し合いました。

ロイター通信によりますと、ジャラリ首相は「シリア解放機構」が支配地域で設立していた「救国政府」に政権を移譲することで合意したということです。

こうした中、イスラエルはアサド政権の崩壊にあわせてシリアとの間にある係争地「ゴラン高原」の非武装緩衝地帯に軍を展開させました。

イスラエル ネタニヤフ首相
「我々はイスラエル軍にこれらの陣地を占領するよう命令した。敵対勢力がイスラエル国境近くに潜伏しないようにするためだ」

イスラエルは「国境の安全を確保するための一時的な措置」だと主張。アメリカ政府は容認する姿勢を示しています。

アメリカ国務省 ミラー報道官
「シリア軍がイスラエルとの緩衝地帯周辺を放棄した。空白にテロ組織が入りこめばイスラエルを脅かす可能性がある」

一方、エジプト政府は「権力の空白を利用して国際法に違反する既成事実を作ろうとしている」と非難。サウジアラビアやヨルダンもイスラエルの動きを批判しています。国連も…

国連 ドゥジャリク事務総長報道官
「こうした行為は1974年の協定に違反するものだ」

ドゥジャリク報道官は第4次中東戦争後にシリアとの間で結ばれた停戦協定に違反するとし、イスラエルに協定を順守するよう求めました。

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