米東部ニューヨーク州の裁判所の陪審は9日、地下鉄車内で黒人男性の首を押さえつけて死なせたとして、過失致死罪などに問われた元海兵隊員のダニエル・ペニー被告（26）に無罪評決を言い渡した。昨年5月に起きた事件は米社会の構造的な人種問題などを背景に広範な議論を呼んでいた。
事件では、ニューヨークの地下鉄車内でホームレスのジョーダン・ニーリーさん（当時30歳）が叫び声を上げていたところ、複数の乗客に床に押さえつけられた。ペニー被告に数分に渡って首を圧迫された後、搬送先の病院で死亡したとされる。検察側は無謀な暴力だったと主張する一方、弁護側は他の乗客を守るためだったなどとして無罪を訴えていた。
事件直後には地下鉄車内の様子を捉えた動画がソーシャルメディアで拡散し、白人による黒人への不当な暴力だとして抗議活動が広がり、警察当局との衝突で逮捕者も出た。
一方、近年のニューヨークの治安悪化を背景に、保守派を中心にペニー被告の行動を擁護する声も広がっていた。ニーリーさんは元大道芸人で、観光名所などでマイケル・ジャクソンのものまねを披露していた時期があった。【ニューヨーク八田浩輔】
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