ドナルド・トランプ次期米大統領=首都ワシントンで、西田進一郎撮影

 トランプ次期米大統領は8日に米NBCニュースが報じたインタビューで、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の解任を検討しない考えを改めて明言した。11月下旬に突然表明したメキシコやカナダへの関税引き上げ案の意義を改めて強調した。

 トランプ氏は、パウエル氏を交代させる可能性について聞かれ「そうは考えていない」と明言した。トランプ氏は前政権時代、金融政策で自らの意向に従わないパウエル氏の更迭を示唆していた。

 パウエル氏はトランプ氏勝利直後の11月会合で、トランプ氏に退任を促されても拒否する考えを明示していた。ただ、トランプ氏は大統領選中、金融政策について「命令が許されるべきだとは思わないが、発言権はあると思う」と述べており、中央銀行の独立性を脅かす恐れは残っている。

 トランプ氏はインタビューで「カナダやメキシコに多くを助成しているが、そんなことはすべきではない。助成するつもりなら、それらの国を州にしよう」と発言。「助成」とは両国に対する米国の貿易赤字を指すとみられ、関税を振りかざした強硬姿勢が必要との認識を示した。

 トランプ氏は「関税には多くの目的がある」とも述べ、移民や麻薬の流入を阻止しなければ両国に一律で関税を課すとの「脅迫外交」の意義を強調した。

 法律で、来年1月にも米国内で使用禁止となる可能性がある中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」については、「選挙戦で私はうまくティックトックを使った。完全には嫌いになれない」と述べた。4月に連邦議会で超党派の合意を得た法律だが、次期大統領として支持するかどうか曖昧な態度を示した。

 また「自動車の電動義務化は即座に廃止するつもりだ。環境関連のばかげた多くの政策も終わらせる」と述べ、バイデン政権が導入した電気自動車(EV)購入補助や環境規制を政権発足後速やかに見直す考えを改めて示した。

 インタビューは6日に実施された。トランプ氏が11月の大統領選後、メディアのインタビューに本格的に応じるのは初めて。【ワシントン大久保渉】

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