反体制派が8日未明に首都を制圧したシリアで、アサド大統領の行方不明が続いている。すでにダマスカスを離れたと報じられているが、行き先や方法は分かっていない。反体制派がダマスカスを制圧したころ、国際空港からは1機の飛行機が離陸しており、アサド氏が搭乗していた可能性も指摘されている。
問題の航空機はSYR9218便。航空機の航路を追跡しているウェブサイト「フライトレーダー24」によると、この便は現地時間8日午前5時(日本時間同11時)ごろにダマスカスの空港を離陸し、しばらく東へ進んだ後、北西へと進路を変えた。そのままアサド政権を支援するロシア軍の基地がある西部ラタキア方面へと向かったが、中部ホムス上空で大きく進路を変え、今度は南東へ向かい始めた。だが、その直後、ホムス西部で航路が途絶えた。
この便の動きが特殊なことなどから、X(ツイッター)などでは、アサド氏や家族が搭乗していた可能性も取り沙汰されている。航路の追跡が途絶えた理由は定かではないが、ホムスは反体制派が7日に支配下に置いたばかりで、撃墜されたとの臆測も出ている。
アサド政権は2011年に始まった内戦で、ロシアやイランの軍事支援を受けてきた。また、西部ラタキア県やタルトス県はアサド氏と同じイスラム教少数派アラウィ派の住民が多く住んでいることでも知られ、政権の支持者も多かったとみられる。避難先としてこれらの国や地域が選択肢だった可能性がある。【カイロ金子淳】
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