韓国政界で続く混乱を引き起こしたきっかけは、3日に突然出された「戒厳令」。わずか6時間で解除されましたが、その裏で一体何があったのか。サタデーステーションは戒厳令が出た直後、国会周辺に駆け付けた3人に話を聞くことができました。見えてきたのは「民主主義を守る」という強い意志でした。(12月7日OA「サタデーステーション」)
■“人間バリケード”で国会を封鎖
まずは、戒厳令が出た後、国会の入り口で議場に進入しようとする軍と対峙した野党議員の秘書、キム・ヒョンビンさん。国会周辺は、今まで見たことがない異様な光景が広がっていたと話します。
野党議員の秘書 キム・ヒョンビンさん(35)
「武装した軍人たちが正門に向かってきました、とにかく怖かったですね」
キムさんが国会内から撮影した写真には3機のヘリが飛んでいて、武装した軍の兵士や警察が集まり、物々しい雰囲気に…。早期の解除に繋がった要因の1つが「人間バリケード」。武装した兵士を国会内に入れないよう一列に並びバリケードとなって入口を封鎖したのです。
野党議員の秘書 キム・ヒョンビンさん(35)
「議員たちが中に入って採決をしなければ法的に戒厳令を解除できませんから、とにかく本会議場を守ろうという一心でみんなで動きました」
■深夜の国会周辺に集まった多くの市民
そして、早期の解除には「市民の力」も大きく関係しています。
番組が新たに入手した映像には、深夜にもかかわらず、国会周辺は市民で溢れ、ごった返していました。動画を撮影したチョ・ヒョンソプさんも戒厳令が出たことを受けて国会に来ていました。
デモ動画を撮影したチョ・ヒョンソプさん(49)
「民主主義を壊されるんじゃないかと思って、銃で撃たれても、戦車が迫っても、命をかけてでも止めなければならないと思いました。行動する市民こそ、この国を守る盾になると思っているからです」
他にも、武装した兵士に怯まず、銃口を掴んで立ち向かう野党の広報担当や、軍の車両を移動させまいと立ちはだかった市民らの姿もありました。
デモ動画を撮影したチョ・ヒョンソプさん(49)
「深夜にもかかわらず国会に集まってきた市民たちの勇敢さが一番大きい力になったと思います。銃で撃たれるリスクがあっても、そこに集まってみんなが同じ思いを持っていたことが大きかったと思います」
■記者が目撃「軍の兵士に戸惑いも…」
現場を取材した現地メディアの記者も、軍の兵士や警察が「市民の力」におされる場面を目撃したといいます。突然の戒厳令に、軍の兵士たちも戸惑っていたのではないかと話します。
韓国メディアJTBC政治部 イ・スンファン記者(30)
「兵士たちも混乱しているようでした。その気になれば、いくらでも早く制圧できるのに、兵士たちでさえ、自分たちが正しいのかという混乱があったのだと思います。指示に従うふりをしながら、民間人をケガさせないようにしたのだと思います。(韓国国民からすれば)自分たちで選んだ大統領が不祥事によって辞任するというのがトラウマになっている。今後は大統領の権限についても議論されることになると思います」
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