「親しいオボイ」の一場面で、子どもたちと触れ合う北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(中央)。朝鮮中央テレビが17日放映した(共同)

北朝鮮の国営テレビが今月、金正恩朝鮮労働党総書記の新しい歌の放映を始めた。ニュース番組では金氏に「同志」を付けて呼ぶのに対し、この歌は「金正恩」と異例の呼び捨てだ。北朝鮮に詳しい専門家は28日、「親しみやすい国父」のように演出し、民衆の統率を図る狙いがあるとの見方を示した。

国営の朝鮮中央テレビが17日に初めて放映し、題名は「親しいオボイ」。「オボイ」の意味に関し、北朝鮮の辞典には「父と母」のほか、敬慕する最高指導者への呼称と記されている。専門家によると、2020年ごろまでは主に故金日成主席を指す言葉だった。

北朝鮮の朝鮮中央テレビが17日放映した「親しいオボイ」の一場面で、同僚と笑顔で親指を立てる看板アナウンサーの李春熙氏(左から5人目)(共同)

歌の動画では、子どもや軍人、労働者、医療従事者らが楽しげに口ずさむ様子が撮影されている。普段はいかめしい口調でニュースを読み上げる看板アナウンサー、李春熙氏が同僚と笑顔で親指を立てる姿は海外メディアの注目も集めた。

金正恩氏は、韓国などの敵対勢力から「退廃的な文化」が流入し、社会主義体制が揺らぐことを警戒しているもようだ。自国の文化・芸能を親しみやすい内容にし、外部の影響を受けにくくする目的があるとも指摘されている。(共同)

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