韓国の朴泰桓は、2008年北京五輪の競泳男子400メートル自由形で金メダルを獲得した

韓国は三方が海に囲まれている。ハワイの浜辺にも韓国人は多数いる。オリンピックやアジア大会の競泳競技でも、韓国はそこそこの成績を残している。ところが、実際の韓国は〝カナヅチ大国〟だ。その大きな理由は、ほとんどの小学校にプールがないことだ。

朝鮮日報(2024年4月21日)に、「小学校で義務化された〝生存水泳〟授業が有名無実化」との記事が載った。教育省の資料を引用して「23年3月時点で全国に6175校の小学校があるが、うちプールがあるのは122校」と伝えている。プールがある小学校は2%なのだ。

既視感いっぱい。調べてみると、16年7月29日の朝鮮日報が「15年の時点で、全国5913小学校のうちプールを持つのは76校」と報じていた。

少子化が進行している時期なのに、小学校がこの間に262校増えたのは驚きだ。しかし、プールがある小学校は46校しか増えていない。

旅客船「セウォル号」沈没事故があり、水難に遭っても生き抜く力を養うための〝生存水泳〟授業が義務化されているというのに、新設された小学校の大部分もプールがないのだ。

敷地面積の制約は大きい。小中高校の生徒1人当たりの校庭面積は、平均すると日本の3分の1程度とされている。もちろん、郡部の学校の校庭は広い。その分、都市部の学校はさらに狭い。

そこに、25メートルプールを造ったら…そんなことは分かっているだろうに、〝生存水泳〟授業を義務化するとは、韓国の教育官僚とは、一体何を考えているのだろうか。

海軍将兵も21%が泳げない

韓国語で言う「義務化」とは、どんな実態的意味なのかと考え込んでしまう。

水泳は幼少期に習熟することが肝要だ。年齢が上がるほど難しくなる。

韓国人の〝カナヅチ比率〟を示す統計は見当たらないが、海軍が実施した検定によると「海軍将兵の21%は泳げない」(朝鮮日報10年9月3日)という結果が出たというからあきれる。

韓国ファンからは「朴泰桓(パク・テファン=競泳自由形選手)は2回のオリンピック(北京とロンドン)で金メダル1個と銀メダル3個を取ったことを知らないのか」との怒声が出るだろうか。

しかし、朴泰桓のような選手は「韓国型エリートスポーツ・プログラム」の〝産物〟である。

どんな分野もアンバランス―それこそ、韓国の「定型」と見るべきだろう。(ジャーナリスト 室谷克実)

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