大谷翔平選手の口座から24億円以上を不正送金したとされる水原一平容疑者。お金にまつわる疑問はまだ残っています。残された2つの疑問について専門家に聞きました。一つは「不正送金に銀行は気付かなかったのか?」。もう一つは「大谷選手はおよそ24億円を回収できるのか?」です。
■なりすまし電話「銀行は気づけなかった可能性」
一つ目の疑問について、アメリカへの送金業務を行う税理士事務所・フェニックスデールの渡邉聡美米国税理士に聞きました。
2018年に口座開設、2021年に違法賭博を開始 この記事の写真まず、おさらいですが、アメリカ連邦検察の発表では、2018年に大谷選手の銀行口座開設を手伝った水原容疑者は、その際にはすでに口座へのアクセス権限を持っていました。
2021年に違法賭博を始めますが、そこで大谷選手の口座からお金を使っています。それに伴って、連絡先など口座の登録情報も水原容疑者自身のものに変更したということです。
こうした登録情報には個人情報なども含まれます。勝手にそんなことができるのか?というところを聞きました。
税理士事務所・フェニックスデールの渡邉聡美米国税理士は…渡邉さんは、「今は、アメリカでも多くの手続きがネット上でできるので、大谷選手の個人情報を把握している水原容疑者であれば、可能だったのでは」と話していました。
なりすまし電話も気付けなかった可能性今回、水原容疑者が大谷選手になりすまして銀行と電話をしていたという話もありましたが、その点については「やはり声だけでは判断がつかず、口頭で大谷選手の個人情報を答えられてしまえば本人と認識してしまう可能性もある」ということで、「なりすまし電話も気付けなかったのでは」という分析でした。
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■お金が戻るルート“本人”もしくは“銀行”だが…■お金が戻るルート“本人”もしくは“銀行”だが…
もう1つの点、「24億円が大谷選手のもとに戻ってくるのかどうか」については、カリフォルニア州の弁護士資格を持つ村尾卓哉弁護士に聞きました。
村尾さんによりますと、大谷選手にお金が戻ってくるとするなら“2つのルート”があるそうです。
「水原容疑者本人から」の回収は?その一つが「水原容疑者本人から」です。そもそも水原容疑者が盗んだとされるお金なので、今後、水原容疑者に賠償命令が出る可能性もあるということです。ですが、水原容疑者は巨額の損失を抱えているともいわれています。「全額回収は現実的ではない」という話でした。
「銀行からの返金」可能性は?もう一つのルートも見ていきましょう。こちらは「銀行からの返金」。ただしこれは、銀行に落ち度があれば返金要求ができるということです。
例えば、この「一連の送金が水原容疑者の行為だったと気付けたはずだ」という銀行の落ち度があれば、返金を要求することもできるそうです。
ただ、今回のアメリカ連邦検察の発表をみていますと、水原容疑者はかなり巧妙な手口を使っていたようなので、「銀行側の落ち度を認めるのは難しいのではないか」と指摘していました。
実はもう1つルートがあるようにも見えます。大谷選手の24億円は違法賭博業者に渡っているので、業者から回収することはできないのでしょうか?
村尾さんによると、「返金を要求できたとしても、そもそもが違法に入手したお金なので、既にお金が国外に移っている可能性がある」ということで、「回収できないのではないか」と話していました。
(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年4月12日放送)
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