トランプ次期米大統領が2020年大統領選で敗北した結果を覆そうとした事件で、担当するジャック・スミス特別検察官は25日、ワシントンの連邦地裁に対して起訴の取り下げを要請した。司法省は現職大統領を起訴しないという立場を長年とっているためだ。トランプ氏が2期目の任期を終えた後に再び起訴される可能性は残っている。
スミス氏が提出した書面によると、現職大統領に対する起訴の禁止に関する憲法上の規定に関して司法省内で協議した結果、大統領に改めて就任する前に起訴は取り下げられなければならないと判断した。禁止規定について「断固としたもので、起訴された犯罪の重さ、政府の立証の強さ、起訴の是非に左右されるものではない」と説明した。
トランプ氏は20年大統領選の結果を覆そうとした事件で、「国家を欺くための共謀」など四つの罪で起訴された。しかし、大統領在任中の公的な行為は訴追を免れる「免責特権」を主張。連邦最高裁は24年7月、公的行為には免責特権が適用されると判断し、起訴内容に含まれている一部の行為を免責対象だと判断し、他の行為は公的行為かどうかを判断するよう地裁に差し戻していた。
米メディアによると、スミス氏はこれとは別に、トランプ氏が1期目退任時に、自宅に大量の機密文書を持ち出したとしてスパイ防止法違反の罪などに問われている事件についても、連邦控訴裁にトランプ氏を被告から外すよう要請したという。
トランプ氏は司法省の捜査や起訴を「政治的動機に基づくものだ」と繰り返し批判し、自身が政権に返り咲いた際にはスミス氏を「即刻解任する」との考えを示している。一方、米メディアによると、スミス氏はトランプ氏が25年1月20日に改めて大統領に就任する前に自ら辞任する見通しという。【ワシントン西田進一郎】
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