グテレス国連事務総長のあいさつを代読する中満泉事務次長=広島市中区で2024年8月6日午前8時48分、北村隆夫撮影

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞が決まったことを受け、国連の中満泉事務次長(軍縮担当上級代表)が11日、ニューヨークの国連本部で記者会見した。核兵器を二度と使ってはならないという「核のタブー」の規範の維持は「国連にとって最優先で緊急の課題だ」と述べた。

 中満氏は冒頭、「ここ最近でめったにない素晴らしいニュースで目を覚ました」と笑顔を見せ、核軍縮に対する被爆者の「たゆまぬ努力に心からの感謝の意」を表した。

 日本被団協の歩みについて「核軍縮を支持する国際世論を喚起し、盛り上げる点で非常に重要な役割を果たしてきた。同時にその活動は非常に困難なものだった」と評価。地政学的な緊張を背景に高まる核リスクに触れ、受賞によって「現在の非常に残念で危険な軌道を逆転させることができるよう願っている」と語った。

 また「核リスクを排除するための唯一の方法は核兵器そのものを廃絶することだ」と強調。日本被団協の受賞は、核兵器禁止条約を推進する「さらなる弾みとなる」との見方を示した。核禁条約に参加していない日本政府については「核禁条約の有用性を全面的に否定しているわけではないと思う」と述べ、来年3月に開かれる締約国会議へのオブザーバー参加に期待感を示した。【ニューヨーク八田浩輔】

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