シリーズでお伝えしている、アメリカ大統領選挙の「激戦州の現場から」。きょうは、アラブ系住民の票が勝敗を左右するかもしれない、ある激戦州をお伝えします。
礼拝堂に響く祈りの声。中西部ミシガン州・ディアボーンにある、北米最大のイスラム教寺院です。
ワリッド・ハーブ寺院評議員
「毎週金曜には1000人以上が礼拝に訪れます」
住民の半数以上を占める全米屈指のアラブ系コミュニティはいま、緊張に包まれています。
記者
「イスラエルによるレバノンへの攻撃に抗議する集会に数百人が集まっています」
ガザなどで多くの死者が出る中、イスラエル支援の姿勢を変えない民主党政権への怒りが沸いています。
集会の参加者
「4年前はバイデン氏に投票しました。後悔しているし、恥ずかしいです。政権はイスラエルの戦争犯罪を支援してきたんですよ」
「ずっと民主党員ですが、大量虐殺のために投票できないというのが結論です」
アラブ系住民は元々、多様性を重視する民主党の支持者が多く、前回の大統領選挙ではイスラエル支持を鮮明にするトランプ氏への反発も加わり、バイデン氏が7割もの票を獲得。ところが去年、ガザでの戦闘が発生後、州の予備選挙で10万人以上の民主党支持者がバイデン氏に抗議の票を突き付ける異例の事態が起きました。
さらに、8月。ハリス氏は集会でガザでの戦闘に抗議する声に対し…
民主党 ハリス副大統領
「トランプを勝たせたいなら続けてください。そうでないなら私が話します」
突き放すかのように発言を制したのです。
民主党支持者の中から、「ハリスをおろせ」という運動を始める人まで現れました。
「ハリスをおろせ」運動を始めたアブデル・サラームさん
「あの発言に心底傷つきました。じゃあ、ガザの人々に話す機会はあるんですか?」
ハリス氏に対し、ガザでの恒久的な停戦などを約束すれば支援すると表明したものの無視されたとして、第三党への投票を呼びかけています。
「ハリスをおろせ」運動を始めたアブデル・サラームさん
「大量虐殺の罪でハリス氏を罰し、選挙で敗北させるしかありません。民主党は我々の支持がないと勝てません」
前回の選挙で、ミシガン州を制したバイデン氏とトランプ氏の差は15万票。アラブ系の有権者は20万人以上いるとされていて、接戦となっている今回の勝敗の行方を左右しかねないのです。
ミシガン州の世論調査などを行っている専門家は…
ミシガン州立大学 ヌーラ・セディーク准教授
「まだ投票先を決めかねているアラブ系住民は多いので、ハリス陣営や政権が適切なメッセージを出せれば、自分たちに有利な影響を与えられると思います」
最新の世論調査でミシガン州でのハリス氏のリードはわずか0.7ポイント。
ハリス氏はアラブ系の人々の心を動かすメッセージを出せるのでしょうか。
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