イスラエルとイランの代表も参加した安全保障理事会の緊急会合=米ニューヨークで2024年10月2日、ロイター

 イランによるイスラエルへのミサイル攻撃を受け、国連安全保障理事会は2日に緊急会合を開いた。報復の連鎖への懸念が強まるなか、当事国として参加した両国は互いに挑発を続け、安保理は一致した行動への糸口を見いだせていない。

 会合の冒頭、国連のグテレス事務総長はイランによる攻撃を非難し「事態は悪化の一途をたどっている」と警告。背景にあるパレスチナ自治区ガザ地区とレバノンでの即時停戦を実現し「エスカレーションの悪循環」を断ち切る必要があると切実に訴えた。

 日本を含む理事国から緊張緩和を求める声が相次ぐなか、イスラエルのダノン国連大使は「イランは想像以上の結果に直面するだろう」と報復を示唆。イスラエルを支持する米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は、安保理としてイランへの追加制裁を科すべきだと呼びかけた。

 対するイランのイラバニ国連大使は「対立の激化を回避するには、イスラエルがガザとレバノンへの攻撃を停止するしかない」と主張し、「必要なら一層の防衛的措置をとる用意がある」とイスラエルの報復をけん制した。イランを擁護するロシアのネベンジャ国連大使は、イスラエルを擁護する米国に矛先を向け「安保理の協議をまひさせている」と批判した。

 フランスのドリビエール国連大使は「今こそ安保理が連帯し、地域へのエスカレーションを止めるために一つの声を発すべきだ」と呼びかけた。だが、対立する大国間の利害が安保理の意思決定を妨げる状況が続いている。【ニューヨーク八田浩輔】

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