ロシアのモスクワ近郊で今年3月に起きた大規模テロから半年が経過した。旧ソ連・タジキスタン出身の4人が実行犯として起訴されたことを受け、プーチン政権は移民への締め付けを強化した。大勢の移民を露軍の契約兵としてウクライナの戦地へ送る動きも進んでいる。
タス通信によると、今年の上半期だけで約4万人の外国人が移民法違反で国外追放となった。
また、連邦捜査委員会のバストルイキン委員長は6月下旬、ロシア市民権を取得した移民のうち1万人を新たに軍に登録させ、ウクライナとの戦いの前線に送り込んだと明らかにした。
だが、タジクなど中央アジア諸国からの移民は従来、労働力不足を穴埋めし、露経済を下支えしてきた。ロシアではさらに、「特別軍事作戦」の開始以降、多くの成人男性が海外へ流出し、人手不足が拡大している。
カーネギー国際平和財団の中央アジア専門家、テムール・ウマロフ研究員は、財団内のインタビューで「ロシア社会は(自前では)直ちに労働力を生み出すことはできない。経済を維持・発展させる唯一の方法は移民(の活用)だ」と述べ、締め付けをやめるよう訴えている。【モスクワ山衛守剛】
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