きのう建国75年を迎えた中国。“ネットで注文すれば、欲しい物はすぐ手元に届く”便利な社会になりましたが、それを実現しているのは「格差」と「AI」です。
スマホのアプリで注文した食料品や日用雑貨。わずか20分後…
記者
「もう届きました」
いま、中国の都市部では、多くの人がこうした宅配サービスを利用しています。配達料はわずか数十円。支えているのは、安い料金で配達を請け負う地方からの出稼ぎ労働者たちです。
山東省出身の黄旭さん(38)も、その一人です。
黄旭さん
「昼までに23件の配達をこなしました。稼ぎは160元(約3200円)です」
配達予定時間に遅れるとペナルティが課せられるため、仕事は時間との闘いです。急ぐあまり、事故を起こしそうになる時も。
街では配達員たちが信号無視をしたり、道路を逆走する光景が日常的に繰り広げられています。
黄旭さん
「何度も事故に遭ったことがあるので、危険な仕事ではあります」
黄さんはほぼ休みなく働くことで、毎月およそ20万円を稼ぎます。これは地元・山東省の農村で得られる収入の5倍近くに上ります。
黄旭さん
「休むことは少ないです。食べる時と寝る時以外はずっと配達をしています」
建国以来、都市部と農村の格差を埋めることが大きな課題となってきた中国。
しかし、世界2位の経済大国になった今も、その課題は克服できておらず、黄さんのような出稼ぎ労働者が豊かな都市部の生活を支えているのが現実です。
そして、便利な“配達社会”を支えるもう一つがAI=人工知能です。
配達員はまず、顔認証で配達会社のシステムを起動。すると、AIによって次々と注文が割り振られ、効率的な配達方法が示されます。
黄旭さん
「44番はこれね。下にも取りに行きます」
午後10時、仕事終わりに娘と会話をするのが一番の楽しみです。
黄旭さん
「勉強してた?」
長女
「絵を描いてた」
黄さんの目標。それは、高校2年生の娘を大学に行かせるための資金を貯めることです。
黄旭さん
「娘には将来もっと楽な仕事に就いて、自分の時間をもてるような自由な生き方をしてほしい」
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