米副大統領候補討論会の後、握手する共和党のバンス氏(左)と民主党のウォルズ氏=東部ニューヨークで1日、AP

 1日の米副大統領候補による討論会は、過去2回の大統領候補の討論会と比べて両者が互いに敬意を表す場面が多く、CNNは「礼儀正しく、政策に焦点を当てる討論会」と評した。

 一方、ニューヨーク・タイムズは編集委員のコラムで、民主党のウォルズ・ミネソタ州知事が、過去の発言で猛烈な批判を浴びる共和党のバンス上院議員の「仮面」をはがすことができなかったと指摘し、「この討論会は多くの有権者の心を変えることはないだろう」と分析した。

 今回の大統領選では2回、大統領候補の討論会が行われたが、いずれも政策を掘り下げる論戦とはならず、一方的に相手を非難する場面も多くみられた。原因の一つは、共和党のトランプ前大統領の虚偽や誇張を含む発言だった。

 6月の最初の討論会では、主催したCNNの司会者がファクトチェックを一切行わず、トランプ氏の虚偽を含む発言が放置されたとして民主党側が反発した。

 一方、9月にあったABCニュース主催の討論会では、司会者2人がトランプ氏の発言内容は事実と異なるなどと何度も指摘する場面があった。民主党のハリス副大統領の発言は修正されなかったことから、トランプ氏は不公平だったとして不満を訴え、ABCの放送免許を無効にすべきだなどと主張していた。

 こうした「課題」をふまえ、副大統領候補の討論会を主催したCBSニュースは別の形で候補者の発言のファクトチェックに挑んだ。中継画面にQRコードを表示し、「リアルタイム」で候補者の発言に虚偽や誇張がないかを確認した記事に視聴者を誘導する新たな試みだった。

 CBSは90分の討論会で20人近くの記者をファクトチェックに投入。担当記者は候補者の発言が事実に基づいているかどうかを調べて記事をニュースサイトに投稿し、QRコードを通じて視聴者を検証サイトに誘導した。司会者は候補者の発言の虚偽や誇張を正すよりも、ルールに基づいて討論を促すことを重視したという。【ニューヨーク八田浩輔】

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