レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘を巡り、イスラエル軍は1日、「限定的かつ局地的」とするレバノン地上侵攻の開始を発表した。バイデン米政権は地上侵攻による紛争のさらなる拡大を危惧する。米国の支援を受けるイスラエル側が一定の配慮を示した可能性もあるが、ヒズボラ側の反撃などによっては、戦火が広がる懸念もある。
米紙ワシントン・ポストは9月30日、イスラエルが米政府に対し、レバノンでの限定的な地上作戦の実施計画を伝えたと報じていた。米政府関係者の話としている。
また、米ニュースサイト「アクシオス」によると、大規模な地上侵攻を懸念する米政府がイスラエルと協議した結果、イスラエル側は国境沿いの軍事インフラの掃討に焦点を絞り、完了後の部隊撤収を約束したという。
ワシントン・ポストの報道によると、米政府に伝えられた計画では、イスラエルとの国境沿いにあるヒズボラの軍事インフラを標的にする。2006年にイスラエル軍がレバノンに地上侵攻した際より小規模の作戦を見込むという。
06年の両者の戦闘は約1カ月続き、レバノン側で約1200人、イスラエル側で約160人が死亡した。
米国務省のミラー報道官は30日の記者会見で、イスラエル側から「国境沿いのヒズボラのインフラに対する限定的な作戦について説明を受けた」と話した。
ホワイトハウスのジャンピエール報道官は30日、イスラエルの自衛権を支持すると強調した上で、「我々は緊張緩和を望む。イスラエル側と話し合っている」とも述べ、外交的な解決の重要性を強調した。【ワシントン松井聡】
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