国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は9月30日、イスラエル軍によるレバノン南部での空爆で死亡したイスラム組織ハマスの幹部が、UNRWAの職員だったと認めた。今年3月にハマス上層部とのつながりを指摘されたことを受け、UNRWAはこの人物を休職させていたという。
ハマスはパレスチナ自治区ガザ地区を支配し、昨年10月からイスラエル軍と戦闘を続けている。ロイター通信によると、ハマスは9月30日、レバノンにおけるハマス支部のトップがイスラエル軍の空爆で家族と共に死亡したと発表した。
イスラエル軍は、この人物はレバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラとハマスの調整役を担う責任者で、工作員の勧誘や武器の調達などにもかかわっていたと説明。レバノンにおけるUNRWAの教職員組合のトップも務めていたとした。
UNRWAのラザリーニ事務局長は、記者会見でこの人物が職員であることを認めた上で、今年3月にハマス上層部とのつながりを外部から指摘され、休職中だったと明らかにした。ハマス幹部だったことは「初めて聞いた」と釈明した。
国連のデュジャリック報道官は「テロ活動に関与することは容認できず、言語道断だ。世界中の国連職員に対する侮辱だ」と述べた。
国連はUNRWA職員が昨年10月のイスラエルへの越境攻撃に参加したとの疑惑をめぐり、内部調査をふまえて、関与した可能性があると認めた9人を解雇した。今回の問題を受け、UNRWAの組織統治をめぐる批判が再燃する可能性もある。【ニューヨーク八田浩輔】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。