国境地帯で当局者と話をするハリス米副大統領(中央)=西部アリゾナ州ダグラスで2024年9月27日、AP

 米大統領選の民主党候補、ハリス副大統領が27日、メキシコと国境を接する西部アリゾナ州ダグラスを訪問した。不法移民対策が主要な争点の一つに浮上する中、ハリス氏は演説で「不法に国境を越える場合の亡命申請を認めない」と述べ、改めて取り締まりの厳格化を明言した。

 米メディアによると、ハリス氏が大統領候補になって以降、メキシコとの国境地帯を訪れるのは初めて。

 ハリス氏は演説で、米国は世界中から来た移民によって豊かになったとした上で「多くの人々が米国を目指すのは理解できる」と強調。ただ「システムには秩序と安全が必要だ」として、不法移民に厳しく対処する姿勢を示した。8月のCNNのインタビューでも同様の方針を示していた。

 またハリス氏は、9月10日の討論会で言及した国境警備隊の人員増加などの強化策も改めて取り上げ、返り咲きを目指す共和党のトランプ前大統領が「これを潰した」と非難した。

 移民に寛容なイメージの民主党のバイデン大統領が就任して以降、米国にはメキシコとの国境地帯から法的手続きを取らずに入国を試みる人が増加した。

 米税関・国境警備局(CBP)によると、ダグラスが含まれるアリゾナ州の一部の国境警備区域では2023年10月~24年8月に拘束された不法越境者は50万人近くに上った。全体の24%を占め、区域別で最多だった。

 アリゾナ州はメキシコとの国境地帯では唯一の接戦州。政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の各種世論調査の集計(9月11~25日時点)によると、トランプ氏の支持率は48・9%で、ハリス氏は46・9%だった。

 ハリス氏は、バイデン氏から不法移民抑制の役割を任されてきた。トランプ氏はこうした経緯から、ハリス氏が不法移民による犯罪を招いたと主張している。【ニューヨーク中村聡也】

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