軍政下のミャンマーで2007年に大規模な反政府デモを取材していた映像ジャーナリスト、長井健司さん(当時50歳)が治安部隊に射殺されてから27日で17年を迎えた。故郷である愛媛県今治市の墓前で、妹の小川典子さん(64)は「昨年に手元に戻った兄のビデオテープの解析を続けている。ミャンマーにいまだ残る遺留品の返還を求めていきたい」と決意を新たにした。
「粘り強く兄の死の真相究明を続けます」。27日午前、残暑が続く中、額に汗をにじませながら墓前に手を合わせた小川さんは、そう誓った。
23年4月にタイの首都バンコクで現地の独立系メディア「ビルマ民主の声(DVB)」から長井さんの遺品のカメラやテープを受け取った小川さんは、警視庁に解析を求めた。しかし、24年2月に「手がかりは見つからなかった」との報告を受けた。長井さんが所属していたAPF通信社(東京)が今春、民間の専門機関に調査を依頼して継続的な調べが進められている。
21年2月のクーデター以降、軍事政権が続くミャンマー。「国内の安定と正常化を」との思いをつなぐ小川さんは、近く予想される日本の衆院選を念頭に「選挙の後、ミャンマーゆかりの日本の国会議員の協力を得て外務省に事態の進展を働きかけたい」と、墓を背にして力強く語った。【鶴見泰寿】
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