イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘をめぐり、国連安全保障理事会は25日、緊急の公開会合を開いた。「レバノンをもう一つの(パレスチナ自治区)ガザにしてはならない」との声と共に、即時停戦への呼びかけが相次いだ。
冒頭、グテレス国連事務総長はレバノンが「地獄のような大混乱に陥る」と警告し、情勢の沈静化に向けて「安保理が一致団結して取り組むようお願いする」と求めた。
イスラエル軍幹部が地上侵攻も辞さない構えを見せるなか、英国のラミー外相は「双方とも瀬戸際から引き下がる時だ」と述べて即時停戦を要求。ヒズボラを支援するイランを名指しして停戦を促すよう要求した。
当事国として会合に出席したイスラエルのダノン国連大使は「自国民が攻撃されているのを黙って見過ごす国はない」と述べ、攻撃はヒズボラの司令部や軍事施設などを標的にしたものだと正当化。全面戦争は望んでいないとしながらも、「レバノン国民を人質にしている」としてイランに批判の矛先を向けた。
一方、イランのアラグチ外相は「イスラエルは和平を追求するつもりも、停戦に応じるつもりもない。真の目的は、地域全体を全面戦争に引きずり込むことだ」と主張。イスラエルに対しレバノンとガザでの攻撃停止を訴え、平行線をたどった。
イスラエルのネタニヤフ首相は国連総会のため26日に訪米する予定。フランスや米国などが提案した21日間の即時停戦案を支持するかの判断が注目されている。【ニューヨーク八田浩輔】
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