バイデン米大統領は25日のABCテレビの番組で、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘を受け、中東で「全面戦争が起きる可能性がある」と懸念を示した。一方で「(中東の)地域全体を根本的に変える合意の機会も、まだ残っている」と説明した。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国はイスラエルとヒズボラの短期間の停戦を仲介するために動いているという。米政府高官は、仮に両者の停戦が実現すれば、同じくイスラエルと戦闘を続けるパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスに対しても、停戦への圧力をかけることにつながると期待しているという。
米国防総省のシン副報道官は25日の記者会見で、イスラエル軍によるレバノンでの軍事作戦に関し、「(イスラエルに対して)米軍は機密情報面での支援は提供していない」と述べた。またレバノンへの地上侵攻については「差し迫っているようには見えない」との認識を示し、事態の解決に向けて注力していると説明した。
バイデン政権は一貫してイスラエルの「自衛権」を支持する一方、紛争の拡大は望んでおらず、外交的な解決を目指してきた。
ただ、ガザ地区での戦闘では、米国が仲介する停戦はいまだに実現していない。レバノン情勢を巡ってもイスラエルは強硬な姿勢を示しており、米国の取り組みが奏功するかは見通せない。【ワシントン松井聡】
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