岸田文雄首相

 岸田文雄首相は23日午後(日本時間24日午前)、国連本部で開催する兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)交渉開始に向けたハイレベルの友好国(フレンズ)会合に出席し、広島・長崎への原爆投下から80年にあたる2025年に被爆者の海外派遣に取り組むと表明した。

 首相は「核兵器のない世界への願いとともに、被爆の実相を改めて世界に広めていくことが必要だ」と強調。被爆者の海外派遣▽世界各国からの広島・長崎への訪問促進▽対外発信の強化――の三つを柱に据えて被爆の実相への理解促進に取り組むと訴えた。

 同条約交渉開始に向けたハイレベル友好国会合は、上川陽子外相が3月に発足を表明しており、日本が主導して今回初めて開催した。核兵器国である米国や英国、フランスを含む12カ国が参加。核軍縮をライフワークに掲げる岸田首相が議長を務めた。

 首相は会合で、被爆者が高齢になっていると指摘し、被爆者の海外派遣などに取り組む決意を表明。「引き続き核兵器のない世界に向けた現実的な歩みを支えていくことを心に誓っている。核軍縮に向けた取り組みを前に進めていきたい」と訴えた。

 また日本など12カ国は、FMCTが核軍縮・不拡散の取り組みに大きく貢献することなどを確認する「FMCTフレンズ共同報道発表」を会議終了後に公表した。【ニューヨーク影山哲也】

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