襲撃事件のあったショッピングセンターから外に出た人たち=13日、オーストラリア・シドニー (AP=共同)

オーストラリアの最大都市シドニーのショッピングモールで13日、通り魔事件が発生した。犯人は建物内を移動しながら、刃物で買い物客らを次々と刺し、6人が死亡した。出張でシドニーに行った際に立ち寄ったこともある一帯で、治安の悪さは感じなかっただけに衝撃を受けた。

犯人は現場に駆け付けた女性警察官によって射殺された。印象に残ったのは犯人射殺への称賛だ。アルバニージー首相は「彼女は間違いなく英雄であり、その行動は多くの命を救った」とたたえた。女性警察官は犠牲者の追悼式典に姿を見せ、多くの市民が感謝の意を示した。

また、車止め用の障害物を手に取って犯人の行く手を阻んだ外国籍の建設作業員に対して、アルバニージー氏は「好きなだけ滞在していい」と言及。7月に就労査証(ビザ)が切れる予定だったが、特例的に豪州の永住権が付与された。

この事件が日本で起きた場合、被害拡大の防止に当たった当事者に称賛と感謝はどれほど広がるだろうか。警察官については、一部メディアが「拳銃使用に妥当性はあったのか」などと発砲の責任を追及するかもしれない。過度に英雄視する必要はないかもしれないが、身を挺(てい)して市民を守った人物をたたえる豪州の姿勢は見習っていいと感じた。(森浩)

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