米司法省は23日、米国体操協会の元チームドクターによる女子選手への性的虐待事件を巡って連邦捜査局(FBI)が適切な捜査を怠ったとされる問題で、被害者側に総額1億3870万ドル(約215億円)を支払うことで和解したと発表した。司法省は「被害の訴えは最初から真剣に取り扱われるべきだった」と過失を認めた。
米代表のチームドクターだったラリー・ナサル受刑者は1990年代以降、数百人の選手を性的に虐待した疑いがあり、2017~18年に性的暴行などの罪で複数の有罪判決を受け、事実上の終身刑に服している。
米国オリンピック委員会(USOC)の第三者による調査は、体操協会やUSOCが被害の情報を把握しながら、長年にわたって対応を怠ったと指摘。司法省監察総監室の調査では、FBIが被害者の訴えに迅速に対応しないうちに新たな被害が生じていたことも判明していた。
司法省によると、FBIの対応に関して139件の訴えが起こされていた。同省は「今回の和解で被害を消せるわけではないが、被害者が傷を癒やすのに必要な支援をする手助けになってほしいと願っている」とした。【ワシントン秋山信一】
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