【ニューヨーク=平田雄介】国連は22日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の組織的中立性や活動の妥当性に関する評価報告書を公表した。職員が交流サイト(SNS)に政治的見解を表明したり、UNRWAの運営する学校の教科書が政治的に偏った主張を記載していたりしたと指摘し、直ちに改善が必要だと提言した。
イスラエルが1月、UNRWA職員がイスラム原理主義組織ハマスによる昨年10月のテロ攻撃に参加したと国連に通報したことを受け、グテレス国連事務総長が中立性に関する評価をフランスのコロナ前外相に依頼していた。グテレス氏はテロ攻撃への加担については国連内部監査部(OIOS)に調査を指示した。
報告書は、UNRWAについて「他の国連機関と比べると中立性を順守する強固な枠組みがある」と評価する一方、改善すべき問題点は「しつこく残っている」と指摘。職員組合が政治化して管理職を脅し、UNRWAの活動を阻害しているなどとして、国連職員として求められる「規律の強化」など50項目に上る改善策の実行を求めた。
他方、イスラエルが3月にUNRWA職員の多くがテロ組織のメンバーだと訴えたことについて、コロナ氏は22日の記者会見で「イスラエルから証拠の提供はいまだにない」と述べた。
グテレス氏は改善策を実行することでUNRWAに資金を拠出する加盟国の理解を得て、パレスチナ難民の救済事業を続ける考え。イスラエルの通報後、日本を含む16カ国が計4億5千万ドル(約700億円)の資金拠出を一時停止した。
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