オーストラリアの首相は、子どもによるSNSの利用を禁止する法案を提出すると表明しました。いま各国で、子どもとSNSの関わり方に厳しい目が向けられています。

■オーストラリア首相「リアルな体験を」「子どものSNS禁止法案」提出へ

子どものSNS利用について、街で保護者に聞くと…

小5の母親
「インスタとかは見せるだけで、コメントとかはさせていない」

小5と4歳の母親
「そういうの(SNS)見たりすると心配。誰と連絡取っているのとか」

世界では、規制の動きが広がっています。

ロイター通信などによると、オーストラリアのアルバニージー首相は10日、子どものSNS利用を禁止する法案を年内に提出すると表明。

InstagramやTikTok、Facebookなどが対象となる見通しです。

首相は、SNSで子どもが有害なコンテンツに触れることや、ネットいじめに対し、懸念を示したということです。

オーストラリア・アルバニージー首相
「子どもが端末から離れ、フットボール場やプール、テニスコートに行く姿が見たい。子どもたちに生身の人間とのリアルな体験をしてほしい」

SNS利用を禁止する年齢については、14歳未満から16歳未満の間で検討されているといいます。

市民からは…

シドニーに住む人
「私は賛成です。現状のSNSにはルールも規制もほとんどありませんから」

シドニーに住む人
「SNSの巨大企業に立ち向かったところで私は失敗に終わると思います」

厳しい目は、アメリカでも向けられています。

2024年1月、アメリカ議会上院で開かれた公聴会。FacebookやInstagramを運営するメタ社のザッカーバーグCEOら、SNSを運営する企業の経営者らが出席しました。

その面々に向け、ある議員は…

リンゼー・グラム議員
「あなたたちの手は血で汚れています。あなたたちは人を殺す製品を持っています」

SNSを、“人を殺す製品”と表現。

会場には、SNSが原因で子どもが被害にあったと訴える家族らの姿があり、その証言映像も流されました。

被害者の家族
「息子はフェイスブック上で性的搾取されたあとに自殺しました」
「何人の子どもがSNSのせいで死ぬのでしょう」

2024年3月、フロリダ州で、14歳未満のSNSのアカウント取得を禁止する法案が成立するなど、子どものSNS規制はアメリカ各地に広がっています。日本では、どうなっているのでしょうか。

■オーストラリア 子どものSNS禁止法案提出へ 14歳未満から16歳未満で検討

小笠原亘キャスター:
10日、オーストラリア政府はInstagramやTikTokなど、子どものSNS利用を禁止する法案を年内に提出すると発表しました。対象年齢は14歳未満から16歳未満の間で検討されているということです。

オーストラリアのアルバニージー首相は、「ソーシャルメディアが社会的に危害を加え、本当の友達や本当の経験から遠ざけている。若者の安全と心身の健康は何より重要です」と話しています。

オーストラリアでは14歳の少年が死亡しましたが、その原因はSNSとみられています。

14歳の少年は“筋トレ動画”に夢中になり、自身の体を軽蔑。体重が約25キロ減少し、拒食症で入院しました。さらに友人2人がチャット上で「自殺しろ」と投稿しました。

15歳の少女は以前からいじめを受けていて、高校でエスカレートしました。少女の偽わいせつ画像が拡散され、いじめ加害者は少女に対して自殺を迫りました。
(オーストラリアメディアより)

ホラン千秋キャスター:
大人でもSNSと正しい距離を保つことが難しいので、子どもたちにとってはもっと難しいと推察できますよね。

食べチョク代表 秋元里奈さん:
手段を変えて昔もあったような内容だとは思いますが、手段としてSNSがキッカケになってしまっているということですよね。

ただ、規制するにも限界があって、どうしてもいたちごっこになってしまうので、いじめ、SNSを使う上でのリテラシー、誹謗中傷への厳罰化など、根本の課題を解決する方向にいかないと、無くなる所までいかないのではと思います。

井上貴博キャスター:
完全に規制するのは難しいと思いますが、小さい頃からデジタルツールに慣れておくメリットもあると思います。

ただ、ここまでデメリットが大きくなると陰湿ないじめも加速するでしょうし、抑え込むのも必要ですが、向き合い方の教育の面も並行して行っていくべきだと思います。親としての難しさ、向き合い方はどう感じていますか?

小笠原キャスター:
中学生の子どもがいますが、SNSは見られる設定になっています。うちではかなり、「こういうことを書いたら、友達はどう思うか」という注意をしています。

親に見られていることを時々忘れてしまうのか、時々、激しい言葉を投げかけていることもあります。

子どもの友達の書き込みをみて「親は知っているのかな?」と思ってしまうときはあります。うちではひどいときは話すようにしています。

ホランキャスター:
親として把握しなくてはいけないこともありますが、把握しすぎても過干渉になるので距離感が難しいですね。

小笠原キャスター:
子どもがどう思っているかわからないですが、中学生の段階では親がどんどん話をしてもいいのかなと思っています。

■アメリカでは2025年~14歳未満のアカウントの取得自体を禁止に

小笠原キャスター:
アメリカメディアによると、フロリダ州では2025年1月から、14歳未満のSNSのアカウント取得自体を禁止するということです。

アカウントを既に持っている14歳未満に対しては、SNSの運営会社が削除あるいはアカウント停止するということです。

イギリスメディアによると、イギリスでは2023年10月に「オンライン安全法」が成立し、SNSの運営会社自体が18歳未満は有害な情報(※わいせつ・いじめなど)を見られなくするように設定していて、違反すれば事業者に対し、最大で33億円の罰金を科すということです。

日本では…

▼啓発活動
トラブル事例、適切な利用方法、見守り方を発信(総務省のHPより)

▼保護者への努力義務
青少年インターネット環境整備法
→保護者は(中略)青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得の促進に努める

▼性犯罪に対する罰則の新設など
“グルーミング罪”
→16歳未満に対してわいせつ目的での面会や画像送信を要求
罪に問われた場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

などが行われています。

ネットリテラシーに詳しい成蹊大学の高橋暁子客員教授によると…

【子どものSNS利用で多いトラブル】
▼闇バイト
▼自撮り、ヌード被害
▼誘い出され性的被害

だということです。

高橋客員教授は「保護者は子どもとコミュニケーションを取り、どんな人とやり取りをしているか確認。怪しいと判断したらやめさせることが大事」としています。

井上キャスター:
SNSのアカウントを取得できないようにするのは良いと思いました。

秋元さん:
学校での教育もしっかりしてほしいです。親がやらなければいけないというのもありますが、学校や共通の場でしっかり啓蒙していくことも大事だと思います。

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<プロフィール>
秋元里奈さん
オンライン直売所「食べチョク」代表 33歳
神奈川の農家に生まれる

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