欧州連合(EU)は22日、ルクセンブルクで外相会合を開き、イスラエルを攻撃したイランに対する制裁を拡大することで大筋合意した。イランへの禁輸対象に新たにミサイルの部品を加え、イランからロシアや中東の親イラン組織への武器供給を防ぐ。
EUのボレル外務・安全保障政策上級代表(外相)が会合後の記者会見で、「(イランへの禁輸の)対象をこれまでの無人機(ドローン)の部品からミサイルの部品に拡大することで合意に達した」と述べた。
EUは昨年7月、ロシアによるウクライナ侵攻にイラン製無人機が使用されているとみられることから、イランに対し、無人機の製造に使用可能な部品の禁輸を導入した。
イランによる今月13日のイスラエルへの攻撃では、無人機のほか多数のミサイルが使用され、米政府は中距離弾道ミサイル100発以上、巡航ミサイル30発以上が使われたと分析している。イランの代理勢力が拠点とするシリア、イラク、イエメンからの攻撃も確認された。
このためイスラエルを支援するEUの加盟国から、イランへの禁輸対象を無人機からミサイルに拡大すべきだとする声が上がっていた。
イランはミサイル3000発以上を保有しているとされ、大半を国内で製造している。だが部品は外国製に依存しており、軍事に転用可能な民生品を調達する広範な供給網を構築している。
EUはミサイル部品への禁輸措置で、イランから支援を受けるパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスや、周辺国イエメンの親イラン武装組織フーシ派、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどへのミサイル供給を防ぐ狙いだ。【ブリュッセル宮川裕章】
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