145人が死亡したロシア・モスクワ郊外の銃乱射テロ事件から、きょうで1か月となります。中央アジア出身者が実行犯として逮捕されたことで、移民への圧力も強まっています。

ロシアで起きたテロとしては、過去20年で最悪の惨事となった今回の事件。過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出し、実行犯として逮捕された4人は中央アジアの旧ソ連構成国タジキスタン出身でした。

事件を受け、プーチン政権は移民への対応を厳格化させています。

ロシア プーチン大統領
「移民政策のアプローチを抜本的に見直す必要がある」

ロシア内務省は不法移民の取り締まりを強化。800人以上を国外追放にしたと発表しました。

入国する外国人に「ロシアへの忠誠」を義務付けるとする法案もまとめられ、近く、議会に提出される見通しです。ただ、ロシアにとって移民は欠かせない存在でもあります。

侵攻後も、モスクワ市内では建設ラッシュが続いています。こうした建設現場には、タジキスタンなど中央アジアからの移民労働者が多いといわれています。

少子高齢化に加え、ウクライナ侵攻が人手不足に拍車をかけているロシア。その穴を埋めてきたのが1000万人いるとされる移民労働者です。

事件後、中央アジア出身の移民を排斥するような動きも出ていると彼らはいいます。

タジキスタン出身 修理工場作業員
「タジキスタンの仲間は、解雇された人が多いです。給与を下げられ、辞めざるを得ないという人もいます」

キルギス出身 タクシー運転手
「疑いの目で見られるようになりました。呼ばれる時に『あなたがタジキスタン人ならキャンセルする』と言われたこともあります」

ロシアを離れるタジキスタン人も続出しているといいます。

一方、プーチン政権は事件をめぐり、ウクライナ関与説を繰り返しています。

ロシア プーチン大統領
「われわれの社会に不和やパニック、憎悪をまき散らし、ロシアを内部から崩壊させようとしている」

政権としては、テロを防げなかったことへの批判の矛先をそらすとともに、ロシア経済を下支えしてきた移民への過度な反発が広がることをさける狙いもあるとみられます。

長期化する侵攻の中で起きた今回のテロ事件。ロシアは、依存度を深める移民への難しい対応も迫られています。

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