イスラエルとイランの対立激化で、中東全域を巻き込んだ緊張悪化の懸念が広がる。英ロイター通信は19日、イラン中部イスファハン上空で、3機のドローンが観測され、イランの防空システムが作動したと報じた。同日、イラン北西部にあるタブリーズで爆発があったとイランメディアが伝えた。さらに、バグダッドの南方にある軍基地で20日、空爆があったという。また、イランメディアは、イスラエルが、イラン・イスハファン州にあるレーダー施設を標的にした可能性があると報じた。米シンクタンク・戦争研究所は19日、商業衛星会社「ホークアイ360」のアナリストの話として、「攻撃によりS-300地対空ミサイルのレーダーが損傷した可能性がある」と語ったことを指摘した。

イラン・イスファハンは、テヘランから南方に位置するイラン第3の都市で、宮殿やモスクなど歴史的な建造物が立ち並ぶことで世界的に知られている。イスファハン州には、核施設、主要な空軍基地、また、軍事関連工場など重要施設が点在している。19日の米紙「ワシントンポスト」によると、イスラエル当局者は、「イラン国内を攻撃する能力を、イスラエルが有することを伝えることが攻撃の目的であった」と指摘した。ブリンケン米国務長官は、今回のイランへの攻撃について、「米国はいかなる攻撃にも関与していない」と述べた。攻撃計画を巡り、米国側に事前に知らされていたと報じられている。イスラエルのネタニヤフ首相は、「イスラエル国家は自国を防衛するために、必要なことは何でも行う」と語った。

イスラエル軍の攻撃目標になったとされるイラン中部イスファハンには、大きな被害は確認されていない。イラン国営通信の記者は、「街は静かな状態で、人々は日常の生活を営んでいる」と平穏な状況にあることを強調した。イランの革命防衛隊に近いタスニム通信は19日、「イスファハンや国内の他の場所に対して、外国からの攻撃の情報はない」と報じた。
イラン側は抑制的な姿勢を示しており、アブドラヒアン外相は、「現時点で反撃の計画はない。イスラエルが再び行動を起こすなら、最大限の対応をするだろう」と述べた。今回の攻撃の前に、イラン革命防衛隊の司令官は18日、「イスラエルの全核施設に関する情報は得ている」と牽制しており、報復の連鎖が続くことになれば、さらに、エスカレートする事態も懸念される。

★ゲスト:田中浩一郎(慶應義塾大学教授)、錦田愛子(慶應義塾大学教授)
★アンカー:木内登英(野村総合研究所エグゼクティブエコノミスト)

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